「取り敢えず渡せてよかったね。」
「うん、古賀先生はおじさんだから多分給料も高いだろうし、お返しに期待できるから渡しといて損はないよね。」
そう言って普段見せないような笑い方をする結奈に、凛は結奈も以外と策士だな…と妙に感心していた。
「いい?小野田くんも古賀先生も前座なんだからね?凛の本命は…。」
結奈がそこまで言ったところで、「キャー!」といつもより一際大きい声が廊下に響いた。
「謙ちゃん、これもらって!」
「これも、あたしから!」
「やばい、謙ちゃんチョコ落としそう!」
そんな声に凛は反射的に振り向いてしまって、後悔をした。
そこには、いつも以上に女子生徒に囲まれた御堂がいた。
そして両手にはすでに抱えきれない量のチョコレートをたずさえている。
綺麗にラッピングされたそのチョコたちと自分が作ったガトーショコラを見比べて、凛はため息をついた。
先生、あんなにチョコレートをもらっていたら私からのなんて迷惑かな…。
そんなふうに考えている凛に、結奈は『渡しな!』と視線で合図するが、凛は弱々しく首を振って教室に入って行った。
