「ふう、お菓子作りって大変だね…。」
初めてのことだらけだった凛は、少し疲れた様子でソファに腰掛けた。
「ね。でも慣れると案外楽しいんだよ。」
そう言って笑う結奈に、凛は「へえ。」と返した。
「凛はさ、やっぱり御堂先生にはまだ告白しないの?」
「えっ…と。」
結奈の突然の問いかけに、凛は言葉を詰まらせた。
正直、どうしたいのか自分でもわからない。
「ごめんね、急にこんなこと聞いて。……でも、気持ち伝えないまま御堂先生が異動しちゃったらどうしようって、不安で。」
結奈は思い詰めたような表情で言ったかと思えば、「まあ全然関係ない私が不安になるのもおかしな話なんだけど。」と笑った。
「私ね、御堂先生が異動するって聞く前まで、『先生が通ってた大学に受かったら告白する』って決めてたんだ。」
凛が口を開くと、結奈は静かに頷いた。
「その後に御堂先生が異動しちゃうかもって聞いて…今も自分がどうしたいのかわからない。」
「そっか…。」
結奈はそう相槌を打つと、意を決したように「でもね、」と続けた。
「私、このバレンタインが気持ちを伝えるいいきっかけだと思うの。」
「え…?」
「だってバレンタインは、女の子から男の子にチョコと一緒に気持ちを伝えるイベントでしょ?」
「そうだね…。」
「だから、凛も先生にチョコと一緒に自分の気持ちをちゃんと渡せばいいんじゃないかな。…今まで御堂先生が凛に差し入れをくれていたみたいに。」
結奈の言葉に凛は「でも…。」と呟いたが、その言葉を遮るように結奈は続けた。
