ホテルに入ると、母から何か聞かされていたのか、フロアスタッフが「御堂様、柳生様、お待ちしておりました。」とスマートに2人を出迎えた。
2人はスタッフに案内されて個室のソファに向かい合わせで腰掛けた。
「すみません、母が勝手にセッティングしたみたいで。」
建前上、申し訳なさそうに言う御堂に、美麗は品の良い笑みを浮かべて「いえ。私がお母様に無理を言ったみたいで。」と返した。
「謙次郎さんは何がお好きなんですか?」
スタッフに渡されたコースメニューを眺めながら、美麗はそう尋ねた。
「僕は何でも好きですよ。美麗さんは苦手な食べ物とかありました?大丈夫でしたか?」
「いえ、私も何でも好きです。でも、お肉が好きなのでコースに含まれてて嬉しいです。」
そう言って美麗は静かに笑った。
御堂もそれに合わせて笑い返した。
