世界の週課募集で、カプリチオと再会した。
彼の属性は水。そして背後にはモフモフのキツネ。
同じモフモフなのにタヌキとは違ってスリム。
可愛い上にどこか上品で。うらやましい。
そして苦戦のボス戦。
カブリチオの足元に魔法陣が拡がり。
数多の水泡がらせん状に立ち上って集結し、矢の形になって降り注ぐ。
無数の範囲攻撃。
一期一会のパーティーメンバー内で、歓喜の声が上がる。
「すげー」「つえぇー」「かっけー」
短文の賞賛と共に。
私も思わず「すごい」と発言してしまった。
普段ゲーム内で言葉を発する事など無いので、オンオフ切り替えが面倒なのもあり触っていなかった。
オンラインゲームだからか、常に初期設定はマイクがオンになっている。
慌ててパーティーを抜けたけれど。
個人あてのメッセージが届く。
中身が女だとバレてしまった。
独身かと聞かれ、思わず子供のいる主婦だと嘘を吐いた。
咄嗟にしては良い判断だったと思う。
他に漏れることもなく、過剰な誘いや発言もなかった。
ただ。
「不注意だったね」
何故か、文字なのに怒っているような気がするカブリチオ君。
まるで、ギルドに入っていたら守れるのに。とでも言いたいのだろうか。
被害妄想。
迷惑はかけていないので、謝るのもおかしい気がする。
「次は気をつける。忘れてください」
「いいよ。忘れるからゲームを一緒に楽しまない?」
彼にも、主婦で子どもがいると告げ、ついでに年齢詐称までしたけれど。
ギルドの勧誘とは違う。噓がばれているような気もする。
だからと言って何かが変わるわけでもない。
カプリチオに何度か誘われて、一緒に行動する事が増えた。
「冒険者成長記録、見たことなかった?」
「なんか画面に案内?みたいな表示が出て適当にエンター押してた」
パーティーを組み、個人的なボイスチャットを繰り返す。
もう中身がバレているし。文字を打ち込むより楽でいい。
様々な操作や隠しクエストを教えてもらい、面白さが増えていく。
「ギルドもね、冒険者の実績要素なんだ。他のゲームだとサブアカ作って個人ギルド作ったりするんだけどね。」
「へー。他のゲームしたことないからなぁ。」
年齢詐称も忘れ、警戒心もなく。
そんなふうにタイミングが合えば一緒に遊んでいたけれど。
週末、彼の属性の町に遊びに行くことになった。

