オンラインゲーム『ラピスラズリ』


「お前がギルドに誘わなければ、あいつは俺と」
「黙れ、お前がアジュールを追い詰めたんだ。可愛い反応見たさに意地悪をして。楽しんだ結果が、あいつを追い詰めて。入るはずのなかったギルドに加入するほどだぞ。本当なら。残りの時間、お前と一緒にゲームする事を望んだのに。それが!お前はどうした?無視しただろ。」
感情的に言葉を吐き出した俺に。
応酬するのかと思えば。
「何も聞きたくなくて、ブラリに入れた。」
返って来たのは小さな声で。
ブラリ。ブラックリスト。
アジュールからの言葉は、ブラックリストの設定に従い運営によって遮断される。
きっとアジュールの本音や願いも含まれていただろう。
それが伝わらずに消えた。
「バカなのか……。」
思わず声に出たけれど。
あきれて言葉が続かない。
「俺は、リアルで会いたいって言った。」
それがカプリチオの言い訳なのか。
だとしても。いちいち腹が立つ。
「だからなんだ?気持ちが伝わったとでも?相手は女の子だぞ。リアルで会えるような安心できる情報を与えたのか?ふん。アジュールを信用してないのはお前だ。俺は断言できるぞ。お前の連絡先をアジュールが知っていれば、俺に連絡も返さず、彼女からの接触を待っただろうからな。」
何がリアルで会いたいだ。ふざけんな。
病院でゲームをしていると言っていた。
断られて、いじけて八つ当たりでもしたんだろ。
「拒絶したのはお前だ。俺は中継者。アジュールの最後の言葉をお前に伝えて役目は終わった。後は勝手にしろ。」
俺は会話を強制的に終わらせた。
分かる。理解できる。痛いほどに。
だけど、俺に言うな。言ったところで何も変わらない。
顔も名前も、住んでいる場所も知らない。
これはゲーム。オンラインなんだ。
オフラインになれば絶たれる。リアルじゃない。
顔が見えないから、言葉を増やす。なのに。
何故、カプリチオは簡単に自分から断つことができた?
それだけ、アジュールの気持ちを知った上で、甘えたんだ。
試したんだ。どれだけ自分を許してくれるのか。どれだけ好きなのか。
会いたいと願い。自分の願望だけを優先して。
リアルじゃないからこそ。これがゲームだから。共にゲームをして過ごす時間。
リアルで感じるストレスもなく。ただ純粋にゲームを楽しみ。
積み重なる想い。顔も名前も知らない相手。表情が見えないからすれ違う。
まして。ブラックリストなど。
カプリチオ、俺はお前を許さないからな。