受付嬢なのに、清掃員から一途に溺愛されています ~タワマン最上階で猫と過ごす、秘密の恋~

 今日も、いつものように、早朝に出社した。

 ロビーはまだ静かで、
 昼間の喧騒が嘘みたいだ。

 そして、そこには変わらない光景があった。

 清掃員の姿。

 今度は、私の方から、
 自然に笑って声をかける。

 「おはようございます」

 「おはよう」

 返ってきた声も、同じように柔らかい。

 その少し先で、重役らしき人が、
 どこかぎこちなく清掃員に挨拶をしていた。

 一瞬だけ目が合って、会釈を交わす。

 ――やっぱり。

 その重役は、
 清掃員が社長だと分かっていて、
 だからこそ、丁寧に挨拶をしていたのだ。

 その秘密を知っているのは、今は私だけ。
 そう思うと、胸の奥で、
 少しだけ
 ――ほんの少しだけ、
 くすぐったい気持ちになる。

 でも、何も変わらない。
 ロビーは相変わらず静かで、
 朝は決まった時間に始まり、
 人はそれぞれの仕事へ向かっていく。

 違っているのは、ひとつだけ。
 私は、清掃員とお付き合いしている。
 それだけ。

 いつもの一日が始まろうとしていた。