腹黒王子の愛は、激甘でした。

あの日の後から、東条先輩との距離が少し近くなった。

廊下ですれ違ったりすると前よりも沢山話しかけてくれたり、優しく笑いかけてくれることが増えた。

元々、東条先輩は優しい王子様だったけどその笑顔とは違うような気がする。

(なんて勘違いかもしれないけど…)

自分の考えに恥ずかしくなる。

でも前回の事があってから私は東条先輩にとっての居場所になりたい、と思ってしまった。

教室の窓からグラウンドで体育の授業をする先輩達が見える。

(あっ!東条先輩いる!)

体育はサッカーの授業だったようで東条先輩は華麗にドリブルをこなし、シュートを決めた。

(やっぱり東条先輩はかっこいい!)

ゴールした東条先輩はあっという間に人に囲まれて見えなくなった。

(相変わらずの人気っぷりだなぁ…)

その人気ぶりに少しだけ悲しいような、嬉しいような複雑なモヤモヤが胸に広がった。


* * *


お昼休み私は明日華とお昼ご飯を食べようとしていると、廊下が騒がしくなった。

(もしかして…)

教室のドアから顔を出したのは思った通り東条先輩だった。

「咲良さん、もし良ければ一緒にお昼ご飯食べない?」

突然のお誘いにびっくりする。

(今までそんな事言ってくることなかったのに…!)

でも明日華と食べる約束してるし‥

「すみません!私、明日華と…」

「どうぞどうぞ!!」

明日華は私の言葉を遮るようにして言った。

(えっ!?今どうぞって言った?!)

「ちょっ、ちょっと待って明日華!一緒にお昼ご飯食べようって約束したのに…」

私はコソッと耳打ちすると、

「私の事は全然気にしないで!その代わりに会長とのランチどうだったか教えてね!」

とニヤニヤしながら楽しそうに言った。

「白百合さんもそう言ってくれてるし…咲良さん、どうかな?」

東条先輩は上目遣いで聞いてくる。

(うっ…かわいすぎる!東条先輩にそんな顔されたら断れないじゃん…)

「わ、分かりました…」

私は諦めて、仕方なくOKした。

「よかった…!じゃあ行こっか?咲良さん。」

東条先輩はエスコートするように手を差し出す。

その姿はまさしく王子様だ。

(ただランチに誘うだけで、なんでこうも絵になっちゃうんだろう…)

東条先輩のかっこよさにキャーキャーする私とうんざりする私の葛藤に悩まされながら東条先輩の手を取った。

それでも憧れの東条先輩とのランチにワクワクは抑えきれなかった。