腹黒王子の愛は、激甘でした。

地獄の時間が終わり、その日は未来への不安でドキドキしながら過ごした。


 * * *

次の日の朝、学校に登校すると、

「咲良さんって会長とどんな関係なの!?」

と、一気に沢山の人に囲まれた。

(なんとなくこうなる気はしてたけど…)

予想以上の人に軽くパニックになる。

「単純に助けてもらっただけだよ〜」

私はそう誤魔化して苦笑いすることしかできない。

(だって私も何がなんだか分からないし!)

ただ、良くないことが起きたという事は間違いないだろう。

「じゃあ!会長の彼女とかではないって事!?」

そのクラスメイトの質問にビクッとなってしまう。

(なんて答えるべきなんだろう…)

(彼女のフリを頼まれはしたけどほとんど強制的だったし…)

(それに、彼女のフリをしなくてもバラしたりなんか絶対しない!)

(よし!ここはちゃんと違うよって認めよう!)

「うん!会長の彼女じゃ…」 

ないよと続けようとした時、

「うん。そうだよ。」

後ろから突然現れた声に驚く。

なんと後ろには東条先輩が立っていた。

(なんで東条先輩がここに!?)

(ていうか今、爆弾発言しなかった!?)

案の定、クラスメイト達は大騒ぎ。

「咲良さんは、僕の彼女なんだ。」

そう言ってニコッと微笑む東条先輩にクラスメイトの熱はさらに増していく。

「あ…あのっ東条先輩!なんで彼女って認めちゃうんですか!?」

私はコソッと東条先輩に耳打ちすると、

「君の方こそなんで認めないの?もしかして昨日の約束もう忘れちゃった?」

と言って、爽やかに笑った。

(ひっ…!東条先輩の後ろにドス黒いオーラが見える!)

(でも、噂が広がっちゃう前に止めなきゃ…!)

「だ、だって私、そんなことしなくても約束守るって言ったじゃないですか!」

「却下って言ったでしょ?」

東条先輩は淡々と言い放った。

(ど、どうしよう!なんとか収めないと私の平和な学校生活が…!)

私は必死に頭をフル回転させていると、東条先輩はフッと小さく笑った。

「もう諦めなよ。君に勝ち目ないんだから。
君が否定するほど僕の彼女っぽく見えちゃうけどいいの?」

東条先輩の言葉がグサッと胸に刺さる。

(じゃあ、どうしたらいいの…)

「そんなつもりじゃ、ないです…
私はただ、平和に過ごしたいだけで…」

すると、東条先輩は静かに笑った。

「安心しなよ。僕がちゃんと守ってあげるから。」

東条先輩の急な甘さに思わず胸がキュンとしそうになる。

(こんな時でもカッコよく見えちゃう東条先輩はほんとにずるい…)

私はもう何も言うことができなかった。

「じゃあみんな、そういうことだからよろしくね。」

東条先輩は優雅に帰っていった。

クラスは相変わらずざわついていて、

「あの東条先輩に彼女!?」

「私ずっと好きだったのに…」

など色々な声が聞こえてくる。

「まさか優が生徒会長と付き合ってたとはね〜」

明日華は面白そうに言った。

「たしかに優ってば生徒会長大好きだったし…
 良かったね、優!」

明日華の嬉しそうな笑顔に胸がギュッと締め付けられた。

(明日華、嘘ついてごめんね…!解決したらちゃんと話すから!)

私は決意を胸に放課後、生徒会室へ向かった。