腹黒王子の愛は、激甘でした。

あれから体育祭はどんどん進んでいってあっという間にお昼休憩に入った。

私は真っ先にある人の姿を探す。

そんな慌てた様子の私を見て颯汰先輩が駆け寄ってきてくれた。

「優?そんなに慌ててどうしたの?」

そう言って颯汰先輩は不思議そうに首をコテンと傾けた。

「実は、廉先輩を探してて…」

私がそう言うと颯汰先輩は複雑そうな顔をした。

「廉が居そうな場所か…」

颯汰先輩は微妙な反応をしている。

(颯汰先輩の反応…もしかして心当たりがあるのかな⁉)

「颯汰先輩…!心当たりがあるなら教えてください!」

私は颯汰先輩にお願いしてみることにした。

しかし颯汰先輩は眉間にしわを寄せたまま考えている。

「当たっていなくても全然大丈夫なので…!」

「お願いします…!」

私のダメ押しに颯汰先輩の表情はさらに険しくなる。

そうして少しの沈黙の後に颯汰先輩は口を開いた。

「なんでそんなに廉の居場所が知りたいの?」

私は颯汰先輩に正直に話した。

廉先輩がさっきの競技で少し様子がおかしかったこと。

前にも暗い表情をしていることがあったこと。

そしてそんな廉先輩が心配で何とか力になれないかと思っていること。

私の話を聞いて颯汰先輩は深いため息を一つこぼした。

そしてフッと困ったように笑って

「優は本当に優しいね。こんなにお人好しな人、きっと優くらいだよ」

と言った。

「…?颯汰先輩の方がとっても優しいじゃないですか」

私は頭に疑問を浮かべながらそう言うと颯汰先輩はさらに困った顔をした。

「ほんと、そういうのずるいって…」

ボソッと何か呟いた颯汰先輩の声は体育祭の盛り上がる声にかき消されて聞こえなかった。

「颯汰先輩?すみません、よく聞こえなくて…」

私は申し訳なくてそう言うと

「気にしないで、こっちの話だから」

と何事もなかったかのように爽やかに笑った後、

「廉ならきっと校舎の裏庭にいると思うよ」

と教えてくれた。

「え…!?」

私は颯汰先輩のさっきの反応的に教えてくれると思わなくてびっくりしてしまった。

颯汰先輩は私の方を少しチラッと見た後に目をそらして言った。

「廉が心配なんでしょ。早く行ってあげなきゃ」

颯汰先輩の言葉にハッとする。

「ありがとうございます!やっぱり颯汰先輩は優しくて頼りになります!」

と感謝の気持ちを込めて満面の笑顔で言った後、私は急いで校舎の裏庭へ向かった。だから、颯汰先輩が

「はあ…本当は行かないで欲しかったのにな…」

と、呟いていたことなんて知らなかった。