腹黒王子の愛は、激甘でした。

あれから廉先輩のことは何もわかることなく体育祭の前日になった。

(廉先輩、大丈夫かな…)

今から会いに行こうかなとも思ったけど生徒会はきっと、行事の準備は特に忙しいだろうからやめることにした。

(颯汰先輩も安心してって言ってたし…ここは颯汰先輩に任せよう…!)

私は一旦廉先輩のことは任せて準備に集中することにした。

私は花紙で体育祭に使う装飾を作る担当だったから黙々と作っていると、

「優、ちょっと今時間あるかな?」

と、颯汰先輩から呼ばれた。

「はい!大丈夫です!」

私は自分のノルマ分の装飾は作り終わってたため、1度休憩時間をもらって颯汰先輩のところへ向かった。

「作業中にごめんね。廉のことでちょっと話したいことがあって」

廉先輩というワードに少しドキッとしてしまう。

「いえいえ…!わざわざここまで来てくれてありがとうございます!」

「ふふっ優は相変わらず優しいね」

颯汰先輩は嬉しそうに微笑んだ。

(優しいのは颯汰先輩の方なのに…)

忙しい中でも私の教室まで会いに来てくれるなんて颯汰先輩こそ優しい人すぎる!

私が感謝の気持ちでいっぱいになっていると、颯汰先輩は口を開いた。

「廉の事なんだけど、本人にそれとなく聞いてみても変わった様子はなかったよ」

「特に悩んでたり、暗い感じもなさそうだった…だから優は安心して大丈夫」

颯汰先輩はそう言って優しく笑った。

きっと颯汰先輩は私が廉先輩を心配してることに気づいてたんだろう。

だからこうして早いうちに伝えに来て、安心させようとしてくれてるんだ。

颯汰先輩の優しさに胸がジーンと温かくなる。

「何から何まで本当にありがとうございます!」

私は感謝のきもちが伝わるように心を込めて言った。

「僕が好きでしたことだから気にしなくていいよ」

と、爽やかに言う颯汰先輩をみて、私もいつか颯汰先輩が困ったときに絶対に力になろうと心に決めた。

「最近の優、なにか悩んでること多かったから少しでも力になれたなら嬉しいよ」

「それに…優には笑っていて欲しいから…ね?」

首を傾げてまっすぐに見つめてくる颯汰先輩のカッコよさにやられて顔に熱が集まってくるのがわかる。

(急に甘くなるのは反則だって…!)

私は赤くなってるであろう顔がバレないように顔を背けた。

「会長!正門の装飾の確認お願いします!」

離れたところから颯汰先輩を呼ぶ声が聞こえた。

(な、ナイスタイミングすぎる!)

喜ぶ私とは対照的に落ち込んだ様子を見せる颯汰先輩。

「はぁ…せっかくいい雰囲気だったのに…」

(…?今なんて?)

聞き取れなかった颯汰先輩のセリフが気になったけど呼びに来た人はとても急いでいる様子だったから聞かないことにした。

「颯汰先輩!生徒会の仕事頑張ってください!」

私がそう言うと颯汰先輩は

「うん、ありがとう。優のおかげで頑張れそう」

と嬉しそうに笑った後

「じゃあ、また明日ね」

と去っていった。

(明日の体育祭、みんなにとって良い思い出になるといいな…!)

残された私はワクワクが抑えきれないまま準備に戻った。