腹黒王子の愛は、激甘でした。

もうだいぶ見慣れてきたドアの前で立ち止まる。

私は深呼吸を一つしてドアをノックした。

「失礼します。1年7組の咲良優です!」

生徒会室に入ると、颯汰先輩は既に来ていたらしく、椅子に座って書類の整理をしていた。

「颯汰先輩!お待たせしてすみません!」

私は不安になりながら言う。

「全然待ってないよ。無理に予定を入れたのに来てくれてありがとう。」

颯汰先輩は優しく微笑んだ。

その笑顔に安心する反面、少しドキッとしてしまう。

(颯汰先輩、最初と比べてだいぶ優しくなったなぁ)

最初に初めて話せた時は思ってたのと違くてびっくりしたけど、今は前よりも優しくなったし、なんというか…甘くなった気がする。

「颯汰先輩!話したい事ってなんですか…?」

私はさっそく本題に入る。

「ああ…それはね…」

颯汰先輩はなにか考え込んでいるようだ。

(なにか大変なことがあったのかな…?)

だんだん不安になってきて思わず両手をギュッと握る。

「今日の昼休み、廉と過ごしてたよね?」

「え…?はい!」

思わぬ質問に驚いてしまう。

(颯汰先輩はなんでそんな事聞くんだろう?)

「いや…なんていうのかな…」

私の心の中を読んだように、颯汰先輩は言葉を選んでいく。

「さっき…廉と楽しそうに過ごしてるの見て、胸がざわついた。」

颯汰先輩の表情から戸惑っているのが分かる。

「もちろん、優が誰と仲良くするのも、笑うのも自由だよ?
……ただ、優の笑顔は、僕の前で見せる時の笑顔の方が好きだなって思って」

「え…?」

颯汰先輩の本音に胸がどくん、と大きく鳴った。

そんな事、言われるなんて思ってなくて。

だって…

(そんなの…や、ヤキモチ焼いてるみたいじゃん…)


「な、なんですかそれ…」

だんだんと顔に熱が集まってくるのが分かる。

私の反応を見た颯汰先輩はさっきの戸惑っていた顔とは変わって余裕たっぷりの顔になっていた。

私ばっかり颯汰先輩の手のひらの上で転がさせているような気がして、

「そ、颯汰先輩はずるいです!!」

そんな捨て台詞を吐いてから赤くなった顔を隠すように視線を逸らした。

そんな私を見て颯汰先輩は楽しそうに笑っている。

…さっき優しいって思ったことは無かったことにしよう。

(や、やっぱり颯汰先輩は意地悪だ…!!)

私は余裕たっぷりの颯汰先輩に負けじとしっかりと颯汰先輩の目を見つめ返したあと、逃げるように生徒会室をあとにした。