腹黒王子の愛は、激甘でした。

あれから颯汰先輩の甘々度合いはとどまることを知らず、度々一緒にお昼ご飯を食べるようになった。

今日も颯汰先輩に呼ばれたのだが、遅かったので心配になって生徒会室まで来てしまった。

(颯汰先輩いるかなぁ…)

私は少し緊張気味にノックしてドアを開けた。

するとそこにいたのは、

「やっほ!咲良ちゃん。」

颯汰先輩ではなく白流先輩だった。

(前のやりとりがあってから変に緊張しちゃうんだよなぁ…)

なんて思いつつも白流先輩にたずねる。

「あの!颯汰先輩いませんか?」

私の言葉に白流先輩は一瞬目を見開いた。

「颯汰なら生徒会の会議が長引いてて少し遅れるって言ってたよ。」

(そうなんだ…じゃあ今日はお昼ご飯1人かな…)

最近は明日華が私たちに気を使ってくれて他の人と食べるようにしてるんだ。

だから今私が「やっぱり颯汰先輩と食べれなかった」なんて言ったら心配させちゃうよね…

「分かりました。教えてくれてありがとうございました。」

私はそう言い残し、立ち去ろうとすると、

「待って。颯汰がいないなら代わりに俺と一緒にお昼ご飯食べない?」

と、白流先輩はニコニコして言った。

(えっ!?どうしよう…でも1人で食べるの寂しいしありがたいかも…!)

私は白流先輩の優しさに甘えることにした。

「いいんですか?ありがとうございますっ!」

「全然いいよ。それに俺もぼっち飯は寂しいしこちらこそありがとうだよ。」

白流先輩は優しく微笑んだ。

その優しさに思わずドキッとする。

(白流先輩いい人すぎるっ!!)

こうして生徒会室にある大きめのテーブルに向かい合って座ってお昼ご飯を食べ始めた。

「さっきさ、颯汰のこと下の名前で呼んでたけどいつの間にそんな進展してたの?」

白流先輩の言葉に思わずむせてしまう。

「そ、そんなことないです!!成り行きでたまたまなったっていうか…」

私は顔に熱が集まるのを感じながら適当に誤魔化した。

「ふーん…。じゃあ、俺のことも白流じゃなくて廉先輩って呼んでよ!」

「えっ…?!」

突然の急展開に頭が困惑する。

だって颯汰先輩はもちろん、白流先輩も学校の超人気者らしい。

(たしか最近、明日華が言ってた気がする…)

そんな人気者の2人を下の名前で呼ぶなんて他の人から恨みを買うこと間違いなしだ。

白流先輩には申し訳ないけどしっかり断ろう。

「すみません…それはちょっと…」

私の言葉に白流先輩は寂しそうな顔をする。

「颯汰は良いのに俺はダメなの…?」

捨てられた子犬のような瞳をする白流先輩を見て胸がチクッと痛んだ。

「俺、咲良ちゃんと仲良くなりたいんだよね…だから少しでも距離を縮めたいなぁ…なんて。」

「無理を言ってごめんね?」

白流先輩はシュン…と落ち込んでしまった。

(う、うわぁぁ…どうしよう!?)

(他の人もやってるから下の名前を呼ぶくらい良いのかな?)

「れ、廉先輩っ!これからはこうやって呼ばせてもらうのでそんなに落ち込まないで下さい!」

思わず言ってしまった私の言葉に廉先輩は嬉しそうに笑う。

「やった!ありがとね優!」

突然の名前呼びにびっくりする。

でも廉先輩といるのはゆっくり落ち着けてとても楽しかった。

だから気づかなかったんだ。

私たちをジッと見つめていた1つの影に。