勘違い一夜から始まる極甘策士なドクターの激愛婚〜偽装結婚は旦那様の甘い罠でした〜

「すごくいいのが撮れたよ。ほら」
「みせてみせて!」

 駆け寄って覗き込んだふたりは、「「へんなかおー!」」と声をそろえて爆笑した。その様子がとても楽しそうで、こちらまで自然に口もとがほころぶ。

 芹澤先生はもう一枚の写真をご両親に渡している。

「どうぞ。退院の記念に」
「ありがとうございます! わぁ、素敵」

 受け取ったお母さんがうれしそうな声をあげ、お父さんの方もお礼を言っている。

 おそらくどちらかの子どもが入院していたのだろう。元気になったお祝いに写真を撮ってあげていたのだろうか。芹澤先生にこんな一面があるとは。

 心が温かくなるのを感じていると、彼は女の子の目線に合わせて屈み、ぽんと頭をなでる。

「じゃあ、元気でな。今度ここに来るときは医者になってこいよ」
「せんせーにあいにきちゃダメなの?」
「え、ちょっとドキッとするじゃん」

 甘え上手なことを言う女の子と、胸を押さえておどける先生がおもしろくて笑い声が響いた。五、六歳くらいの女の子にまでモテている先生、さすがだな。

 ほっこりしていたとき、先生に挨拶をしたご家族がこちらに向かってくる。はっとして、ご両親に会釈をしてから先生の方に視線を戻すと、目が合ってドキッとした。