勘違い一夜から始まる極甘策士なドクターの激愛婚〜偽装結婚は旦那様の甘い罠でした〜


 翌週も、私は白藍総合病院へ足を運んでいた。ただし、今回提案したのは形成外科ではなく皮膚科で扱う医療機器。

 一緒に来た先輩社員は、このまま別の得意先に向かうのでここで解散となった。私は事務仕事を残すのみなので本社へ戻る。

 先輩と別れた後、ほんの少し休憩がてら院内の庭園を回っていくことにした。時刻は午後三時。今日はなんだか忙しくてお昼も三十分しか時間が取れなかったし、このくらい息抜きをしてもいいよね。

 エントランスから行ける庭園は季節によって違う花が鮮やかに咲き誇り、とても綺麗に整備されているので、患者として来たときもよく散歩していた。今日は風もなく、ぽかぽか陽気なので気持ちよさそう。

 そう思いながら小道を歩いていくと、円形の花壇がある広場から楽しそうな声が聞こえてきた。小さな子をふたり連れたご家族と、一緒にいる白衣を着たお医者様がしゃがんでカメラを構えている。

 あのふわっとした髪と背格好……もしかして芹澤先生?

 しばらく眺めていると、目からカメラを離した彼の顔が見え、やっぱりそうだとわかった。彼は穏やかに微笑んで腰を上げ、その場でプリントされた写真を子どもたちに差し出す。