勘違い一夜から始まる極甘策士なドクターの激愛婚〜偽装結婚は旦那様の甘い罠でした〜

 口調は優しいものの、そこはかとない厳しさを感じる。野島さんはぎくりとしたように「は、はい」と返事をし、笑顔を強張らせていた。

 まさか芹澤先生が味方になってくれるとは思わず、胸がほわっと温かくなる。

 ……また自信を与えてくれた。よく知らない相手に対しても、心を元気にしてあげられる先生はすごい。先生が患者さんに人気なのは、ただ腕がいいからというだけじゃないのだろうと感じた。

「だから、僕としてはすぐにでも発注したいんですけど、費用の問題もあるので少しお待ちくださいね」

 胸を打たれているうちに芹澤先生の表情は柔和に戻り、須賀先生が眼鏡を押し上げて茶々を入れる。

「先生のポケットマネーで買えるのでは」
「あ、なるほど~っておい。勝手に買ったら置き場所に困るだろ」
「ツッコむとこそこですか」

 急にコントのようなやり取りが始まるので、私は思わず吹きだした。

 やっぱりおふたりは仲がいいみたい。いい意味で緊張感のない彼らのおかげで、終始和やかな打ち合わせとなった。