勘違い一夜から始まる極甘策士なドクターの激愛婚〜偽装結婚は旦那様の甘い罠でした〜

 真面目な表情で話を聞く芹澤先生は、「どう思う?」と隣の須賀先生の意見も伺う。真剣なのに醸し出される余裕が、やはり手練れの空気を感じさせる。

 顕微鏡については好印象のようで、芹澤先生が私たちに笑みを向ける。

「期待通り魅力的な製品ですね。前向きに検討させていただきます」
「ありがとうございます! ぜひよろしくお願いいたします」

 ぱっと表情を輝かせる野島さんと一緒に頭を下げた。気に入ってもらえてよかった! と内心ガッツポーズする私。

 話が一段落して、ほっとしながらお茶をいただいていると、芹澤先生の瞳がこちらに向けられる。

「ところで、八影さんはもしかして、八影社長とご関係が?」

 仕事とは関係のない問いかけをされ、私は再び背筋を伸ばす。

「はい、娘です」
「やっぱり。苗字でわかったよ」

 さすがお父さん、この界隈では有名らしい。そして芹澤先生は、やっぱり私のことは覚えていないみたいね。

 まあ当然だよねと納得していると、彼はやや前屈みになって問いかけてくる。

「この製品を導入するとして、手術の立ち会いは八影さんがやってくれるのかな?」