勘違い一夜から始まる極甘策士なドクターの激愛婚〜偽装結婚は旦那様の甘い罠でした〜

 そんな声をかけてくれる人は家族以外では初めてで、とても救われた。たとえ医者としての甘言であっても、自信を失くしていた私にとってはすごくうれしいものだったのだ。

 芹澤先生のおかげで、もっと気をラクにして考えられるようになった。治療は無理にしなくてもいいし、劣等感を持つ必要はないと。

 そして、憎んでしまいそうになった痣を、これも自分の大事な一部だと思えるようになった。彼への恩はいつまでも忘れない。


 そんな彼と、こうして仕事を通して話せるときが来るとは。私のことは覚えていないだろうけれど、いつか感謝を伝えられたらいいな。

 少しだけ心が高揚するのを感じながら、よりいっそう気合いを入れて製品の説明を始めた。

 金額や納期など、機械の導入に関してのことは野島さんが、細かい機能については私が説明するのがお決まりのパターン。私もカタログとタブレットを使って、先生方の質問に答えていく。

「従来のものより、画像の切り替えがスムーズになりました。ボタンを数回クリックするだけで可能ですし、フットスイッチでコントロールできる機能も増えましたので、より円滑に手術を進めることができます」
「うん、すごくいいね。手術がやりやすくなるだけじゃなくて、研修医の指導も効率よくできそうだ」