勘違い一夜から始まる極甘策士なドクターの激愛婚〜偽装結婚は旦那様の甘い罠でした〜

 あのときは初恋の彼の発言でついた傷がまだ癒えていなくて、主治医がいなくなった隙に研修医だった彼に本音を吐露した。

『正直、何度も治療を受けに来るのは気が重いです。毎回痛い思いをするのに、完治するわけじゃないし』

 レーザー照射は麻酔をしても痛いときがあるし、かさぶたができて新しい皮膚になるまでは見た目もよくない。この不快さに何度耐えても、結局あの彼のようにられるかもしれないと思うと、治療する意味があるのかわからなくなる。

 主治医もとてもいい先生だったのだが、〝一緒にがんばろう!〟という熱血タイプだったのでなんとなく言えず、研修医の彼にこぼしたのだった。

 すると彼は、私に向き合ってこう言った。

『つらければ、治療をやめるのもひとつの選択肢ですよ。痣は、身体より心の問題の方が大きかったりしますから』

 私の気持ちに寄り添ってくれる言葉が返ってきて自然に顔を上げると、彼の優しい笑みに目を奪われた。

『でも、この痣もあなたの個性です。持っていても決して悪いものじゃありませんよ』

 温かい言葉がじんわりと胸に沁み込んで、目頭が熱くなったのを覚えている。