「ちっ! なんだよ、うざ! もうどうでもいいわ!」
春人くん達の登場により、面白くなさそうな顔をして彼らはどこかへ行ってしまった。
よかった……。
ホッと胸を撫で下ろした。
「ったく、しょうがない奴らだ……ところでお嬢さん。見ない子だけど……この広い学校の敷地で迷子になったのかな?」
くるりと私の方を向き、いつもの優しく柔らかい笑顔を向ける春人くん。
この時ーー女の子の記憶の中の世界で、私はもちろんいなかった。
だから、春人くんも私のことが分からないんだ。
「そ……そうなの! いやぁ。迷っちゃって……あはは」
テキトーに誤魔化して、心の中から抜け出そう。
あの子の気持ちは分からないから、解決とはいかないけれどーーこの気持ちは、秋也くんのストーカーをするのとは関係なさそう。
「あっ! キミ!」
そう思っていたら、夏樹くんの大きな声に思わず振り返った。
絡まれていた大柄な女の子がどこかへ走り去ってしまった。
ところで、あの子は……?
「ねぇ、そこのキミ」
今度は、秋也くんに声をかけられた。
「はい……?」
「あの子、様子見てあげて」
えっ!? 私が!?
そう言いそうになったけれど、彼女のことも心配。
そう思い、こくりとだけ頷いて走る彼女を追いかけた。
「珍しいな。秋也が女の子と話すなんて」
「だな。普段だったら絶対ありえねぇ」
春人くんと夏樹くんからそんな風に揶揄われて、
「うるさいな。女の子はあまり好きじゃないけど、あそこで声をかけない自分の方が嫌いだから」
なんて、そんなことを言っていたなんて思ってもいなかった。


