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翌日。
家事を終え、窓から門の方を覗くと今日もいる。
女の子が門から屋敷をじっと見つめている。
さすがに今日は、春人くんも大人しくしてくれている。
「マホちゃん。魔法は使えそう?」
「うん。この距離でも問題はないよ。それじゃあ……いくよ?」
春人くんと夏樹くんに目配せし、2人が頷くと手のひらを女の子に向けた。
「シーハート!」
呪文を唱え、耳を澄ませた。
彼女の言葉を聞き逃さないように。
「マホちゃん、どう?」
「しっ! ちょっと待ってね……」
様子を尋ねる春人くんに人差し指を口元に当てて彼女の声を聞くことに専念した。
この魔法は、人の心を読めるだけでなく、もっと集中すると彼女の心に入り込むこともできてしまう。
彼女が、どういう経緯で秋也くんに関わるようになったのかをしっかりと調べなきゃ。
《話しかけたいーーでも、》
彼女の声を聞くことに成功した。
か細く、弱々しい声音は簡単に他の音に消されてしまいそう。
それほど、繊細な声。
《彼に話しかける為の努力はしたーーでも》
どうやら、彼女は何かに戸惑っているよう。
その様子の真相を知るために、ぐっと集中すると体がグッと飲み込まれる感覚に襲われた。
「っーー!」
彼女の心の中に、入ってしまった。


