「邪魔。通路のど真ん中にいないで、端によけてくれない?」
「あっ……ご、ごめんね……」
ギロリと鋭い目で睨みながら言われた。
秋也くんは、特に私のことを歓迎していないようで当たりが強い。
柳楽家は、自立性を育む教育方針があるようで春人くん達4つ子はこの大きなお屋敷で4人暮らし。
こんな大きなおうちが別邸で、弟の四季くんは本家で住んでいるらしい。
私がここで使用人として働くことが決まると、四季くんは家へと戻ってしまった。
ここへは、たまに来るとのこと。
心細く思うけれど、1人だけ私に寄り添ってくれる人がいる。
「こらっ、秋也! マホちゃんになんてことを言うんだ」
「僕は事実を言っただけだろ」
春人くんだ。
でも、私のためにーー春人くんと秋也くんがバチバチと視線で火花を散らしているのを見るのは辛い。
「ったく……マホちゃん。秋也の言うことなんて気にしなくて良いからね。キミは、とても素晴らしいことをしているのだから」
「あ、ありがとう……」
キラキラと輝かしい表情をして言う春人くん。
かばってくれるのは嬉しいのだけれどーーなんだか恥ずかしい。
「秋也。誰のおかげで綺麗な環境で生活できていると思っているんだ……ったく」
「そんなに僕に感謝して欲しい? それなら……あれ」
そう言うと、秋也くんが窓の外を指差した。
指しているのは少し遠い門の向こう。


