私は大好きな環 陽久くんのために手作りのバッグを作っている。
心を込めてひと針ひと針思いを込めて、手縫いをした。
大好きな陽久くんのことを考えると体の温度が上昇する。
頬も自然と紅色に染まる。
きっと喜んでくれるよね。
これを渡した瞬間、陽久くんはどう思うのだろう。
期待と不安が入り混じる。
雪の結晶のマークを刺繍してみた。
雪の結晶は目に見えないものだけど、全て形が違う美しいものだと聞いた。
これは私の気持ちを目に見える形にしたものだ。
勇気を出して時間をかけて作ったバッグを渡すことにした。
放課後、体育館の裏に呼び出す。
陽久くんは来た瞬間、顔が青ざめたように思えた。
「手の怪我は大丈夫?」
心配そうだけど、一歩引いた感じがする。
「大丈夫だよ。私からの気持ちだから受け取って。骨を折り、身を粉にして作ったんだよ」
ラッピングして渡すと、一応受け取り中身を確認される。
まるで何が入っているか立会いのもとに確認しているようだった。
「手作りのバッグかな? 気持ちは嬉しいんだけど、ちょっとこれは受け取れないよ」
「なんで?」
「血、シミがついた白いバッグはちょっと使えないよ」
あえて白い生地にしたのは、冬や雪を連想させたかったから。それに、結晶の刺繍が見えやすいからと思ったのに。
「血がついたのは、私が針を指に刺してしまい怪我をして流血したから。シミは、熱い部屋で汗水垂らして作ったからなの」
「でも、普通に不気味だと思うんだけど。ごめん。これは返すよ」
彼は、丁寧に申し訳なさそうにこちらに差し出した。
でも、受け取ってもらいたいと思う。
「これは、私の血と汗の結晶なんだから!! 死力を尽くしたんだから!!」
一生懸命の気持ちを言葉にした。言葉にすればきっと心が伝わると思ったからだ。
心を通わせたい。
「君とは水と油だと思う。肌が合わない」
きっぱりと彼が言い放つ。
実際私は骨折もしていたし、指を怪我して、文字通り指先の皮が粉のようになってしまった。
不器用な人間だ。恋のやり方も努力のやり方も世界一不器用なのかもしれない。
陽久くんは冷めた目をしている。
もちろん、目の正確な温度を測るわけでもないけど、冷たい視線を送るときに、冷めた目という言い方することがある。
厳密にいえば、体温と目の温度はさほど変わらないのかもしれない。
冷ややかに感じる視線を見ただけで私は自然に頬を染めていた。
実際、本当に顔が赤くなっているわけでもないけど、本には好きな人を見ると頬を染めると書いてあることが多い。
実際、頬の温度は少し上昇している気がしているけど、気のせいなのかもしれない。
冷めた目の陽久くんもクール感じがしていいなと思う。
勝手な妄想で頬を染める私。
私は寝食を忘れて力を尽くした。
あとは、彼が振り向いてくれるのを待つのみだ。
息をのんで彼の言葉を待つ。
「正直、肝を冷やすことばかりだ。こんな恐ろしいものをもらうなんて、背筋が凍り、身の毛がよだつよ。もし、こんな度肝を抜くような嫌がらせをするなら、今後俺は学校や大人に対策を求めることになる。血の気が引き、悪夢の前兆のような毎日は生きた心地がしないよ」
彼の冷静で色のない返答。
その返答に私は目を白黒させていた。
そんなつもりではなかった。
彼が喜んでくれると思っていた。
私の初恋の行いは淡い恋の物語ではなく、黒歴史として私の中の史実に刻まれてしまった。
開いた口が塞がらないとはこのようなことをいうのだろうか。
私の口はぽかーんと空きっぱなしだった。
私の手作りバッグには涙のシミができた。
◎この物語にはいくつの慣用句が使われていますか?
慣用句とは、二つ以上の言葉が結びついて、元々の意味とは異なる特別な意味を表すようになった日本語です。
日本語って面白いと思いませんか。
そのままの意味ではない決まった言葉が数多く存在するんです。
たとえば、『骨を折る』という表現はそのまま骨を折るという意味ではありません。
苦労して成し遂げるために多くの時間や労力を使うという意味です。
この物語では本当に骨を折ったとなっていますが、普通はたとえとして使います。骨折しなくても、使っていいんですよ。
人間の体を使ったたとえの言葉も数多くみられます。
慣用句は二語以上の言葉が結びついて特定の意味を表す表現で、ことわざは教訓や生活の知恵を含む短い言葉です。例えば「油を売る」は慣用句、「猿も木から落ちる」はことわざになります。
◎この物語で使われた慣用句はなんと22個!!
このような短い物語の中にたくさんの慣用句との出会いがありましたね。
みなさんも知らないうちに使っている慣用句もきっとあると思いますよ。
思いを込める→真心を込める
一歩引く→前に出ず控えめにする。
骨を折る→努力する、苦労する。
身を粉にする→全力で働く。
汗水垂らして→一生懸命働くこと。
血と汗の結晶→ 懸命な努力の成果。
死力を尽くす→命がけで全力を尽くす。
心を通わせる→互いに理解し合う。
水と油→性格や考え方が合わない関係。
肌が合わない→性格が合わない。
頬を染める→恥ずかしさで赤くなる。
寝食を忘れて→物事に熱中する。
力を尽くす→全力で努力する。
息をのんで→驚きで一瞬息を止める。
肝を冷やす→ひどく怖い思いをする。
背筋が凍る→恐怖で身がすくむ。
身の毛がよだつ→恐ろしくて全身の毛が立つ。
度肝を抜く→非常に驚かせる。
血の気が引く→恐怖や動揺で顔色が青ざめる。
生きた心地がしない→恐ろしくて生きている感じがしない。
目を白黒させる→驚きや混乱でうろたえる。
開いた口が塞がらない→驚きや感心で言葉を失い、何も言えない状態。
言葉だけ聞くと痛そう、怖そうな慣用句ってありますよね?
語源を調べてみるともっと何かわかるかもしれません。
心を込めてひと針ひと針思いを込めて、手縫いをした。
大好きな陽久くんのことを考えると体の温度が上昇する。
頬も自然と紅色に染まる。
きっと喜んでくれるよね。
これを渡した瞬間、陽久くんはどう思うのだろう。
期待と不安が入り混じる。
雪の結晶のマークを刺繍してみた。
雪の結晶は目に見えないものだけど、全て形が違う美しいものだと聞いた。
これは私の気持ちを目に見える形にしたものだ。
勇気を出して時間をかけて作ったバッグを渡すことにした。
放課後、体育館の裏に呼び出す。
陽久くんは来た瞬間、顔が青ざめたように思えた。
「手の怪我は大丈夫?」
心配そうだけど、一歩引いた感じがする。
「大丈夫だよ。私からの気持ちだから受け取って。骨を折り、身を粉にして作ったんだよ」
ラッピングして渡すと、一応受け取り中身を確認される。
まるで何が入っているか立会いのもとに確認しているようだった。
「手作りのバッグかな? 気持ちは嬉しいんだけど、ちょっとこれは受け取れないよ」
「なんで?」
「血、シミがついた白いバッグはちょっと使えないよ」
あえて白い生地にしたのは、冬や雪を連想させたかったから。それに、結晶の刺繍が見えやすいからと思ったのに。
「血がついたのは、私が針を指に刺してしまい怪我をして流血したから。シミは、熱い部屋で汗水垂らして作ったからなの」
「でも、普通に不気味だと思うんだけど。ごめん。これは返すよ」
彼は、丁寧に申し訳なさそうにこちらに差し出した。
でも、受け取ってもらいたいと思う。
「これは、私の血と汗の結晶なんだから!! 死力を尽くしたんだから!!」
一生懸命の気持ちを言葉にした。言葉にすればきっと心が伝わると思ったからだ。
心を通わせたい。
「君とは水と油だと思う。肌が合わない」
きっぱりと彼が言い放つ。
実際私は骨折もしていたし、指を怪我して、文字通り指先の皮が粉のようになってしまった。
不器用な人間だ。恋のやり方も努力のやり方も世界一不器用なのかもしれない。
陽久くんは冷めた目をしている。
もちろん、目の正確な温度を測るわけでもないけど、冷たい視線を送るときに、冷めた目という言い方することがある。
厳密にいえば、体温と目の温度はさほど変わらないのかもしれない。
冷ややかに感じる視線を見ただけで私は自然に頬を染めていた。
実際、本当に顔が赤くなっているわけでもないけど、本には好きな人を見ると頬を染めると書いてあることが多い。
実際、頬の温度は少し上昇している気がしているけど、気のせいなのかもしれない。
冷めた目の陽久くんもクール感じがしていいなと思う。
勝手な妄想で頬を染める私。
私は寝食を忘れて力を尽くした。
あとは、彼が振り向いてくれるのを待つのみだ。
息をのんで彼の言葉を待つ。
「正直、肝を冷やすことばかりだ。こんな恐ろしいものをもらうなんて、背筋が凍り、身の毛がよだつよ。もし、こんな度肝を抜くような嫌がらせをするなら、今後俺は学校や大人に対策を求めることになる。血の気が引き、悪夢の前兆のような毎日は生きた心地がしないよ」
彼の冷静で色のない返答。
その返答に私は目を白黒させていた。
そんなつもりではなかった。
彼が喜んでくれると思っていた。
私の初恋の行いは淡い恋の物語ではなく、黒歴史として私の中の史実に刻まれてしまった。
開いた口が塞がらないとはこのようなことをいうのだろうか。
私の口はぽかーんと空きっぱなしだった。
私の手作りバッグには涙のシミができた。
◎この物語にはいくつの慣用句が使われていますか?
慣用句とは、二つ以上の言葉が結びついて、元々の意味とは異なる特別な意味を表すようになった日本語です。
日本語って面白いと思いませんか。
そのままの意味ではない決まった言葉が数多く存在するんです。
たとえば、『骨を折る』という表現はそのまま骨を折るという意味ではありません。
苦労して成し遂げるために多くの時間や労力を使うという意味です。
この物語では本当に骨を折ったとなっていますが、普通はたとえとして使います。骨折しなくても、使っていいんですよ。
人間の体を使ったたとえの言葉も数多くみられます。
慣用句は二語以上の言葉が結びついて特定の意味を表す表現で、ことわざは教訓や生活の知恵を含む短い言葉です。例えば「油を売る」は慣用句、「猿も木から落ちる」はことわざになります。
◎この物語で使われた慣用句はなんと22個!!
このような短い物語の中にたくさんの慣用句との出会いがありましたね。
みなさんも知らないうちに使っている慣用句もきっとあると思いますよ。
思いを込める→真心を込める
一歩引く→前に出ず控えめにする。
骨を折る→努力する、苦労する。
身を粉にする→全力で働く。
汗水垂らして→一生懸命働くこと。
血と汗の結晶→ 懸命な努力の成果。
死力を尽くす→命がけで全力を尽くす。
心を通わせる→互いに理解し合う。
水と油→性格や考え方が合わない関係。
肌が合わない→性格が合わない。
頬を染める→恥ずかしさで赤くなる。
寝食を忘れて→物事に熱中する。
力を尽くす→全力で努力する。
息をのんで→驚きで一瞬息を止める。
肝を冷やす→ひどく怖い思いをする。
背筋が凍る→恐怖で身がすくむ。
身の毛がよだつ→恐ろしくて全身の毛が立つ。
度肝を抜く→非常に驚かせる。
血の気が引く→恐怖や動揺で顔色が青ざめる。
生きた心地がしない→恐ろしくて生きている感じがしない。
目を白黒させる→驚きや混乱でうろたえる。
開いた口が塞がらない→驚きや感心で言葉を失い、何も言えない状態。
言葉だけ聞くと痛そう、怖そうな慣用句ってありますよね?
語源を調べてみるともっと何かわかるかもしれません。



