地元なじみ。

ふと、早川くんの顔が近づいてきた。

あ……

トクントクンと心臓が速くなってきて、期待で胸が高鳴る。


……と思ったのも束の間、早川くんの顔が遠ざかっていく。


「……いや、ここはダメか」

バツが悪そうな顔をしながら私から離れ、元の位置関係に戻る。
冷静に辺りを見ると、多くはないけれど普通に人も車も通る場所だ。
確かにここでは……私もそう思う。

残念だけれど、仕方がない。
ただそれと同時に、ちょっとしたいたずら心が私の中に生まれる。


「……何がダメなの?」

ニヤリと笑って早川くんに聞く。

私が全て分かっている上で聞いていることは、早川くんももちろん分かっていて。
悔しそうに、恥ずかしそうに視線を外している。

早川くんが可愛い……
そう思った時には手をグッと引っ張られ、すぐの所にある人通りの少ない脇道に入り。

「え……」


気づけば、キスされていた。
目を閉じるヒマもない、あっという間のキス。


「ふっ……仕返し」


月明りに照らされた、してやったり顔の早川くん。
仕返しと言うけれど、悔しいなんて気持ちは当然なく、嬉しさしかない。

「ずるい……」
「ふっ、怒った?」
「怒ってない……今日の早川くん、かっこよすぎるから何でも許しちゃうし」
「え、どうしたの?」

早川くんが、急にどうしたと言わんばかりの顔で見ている。
自分でもどうしたと思うけれど、誤解が解けて一安心して。
そんな中での浴衣姿とキスは……反則だ。