地元の駅に戻ってきたけれど、やっぱり人が多い。
改札を出て、また手を繋いで、私の家の方面へ歩く。
来る時はここまででいいよって思っていたけれど、今は違う。
少しでも長くいないと不安だから、送ってくれるなら何も言わずに甘えてしまおう。
今日は自転車がないからショッピングモールを抜ける道の方が近いけれど、それも言わない。
少し遠回りだけれど、いつもと同じ道を2人で歩く。
せっかく一緒にいられる時間、もったいないから思い切って切り出す。
「あのさ……」
「ん?」
「ごめん……私、何か嫌な思いさせちゃった?」
「え?」
「その……早川くん……いつもと違うなって」
「え、そう?あ、いや……そっか、結構考え事してたか……ごめん」
私に言われて気づいたかのような反応で、早川くんは珍しく1人でブツブツ言いながら納得している。
想像していた反応と違い、私も面食らっている。
と同時に、怒ってるわけではないのかなと、少し安心する気持ちが出てきた。
「さっき、藤沢のお母さんが言ってたってこと……」
「?」
「この人って決まったら挨拶するってやつ。万が一、相手が変わった時に比べるからって話」
「うん」
「藤沢の中では、相手が変わる不安があるのかなって……だから今日も挨拶いらないって言ったのかなって」
そう言われて、自分の発言を思い返し、ハッとする。
「ご、ごめん!私、そんなつもりじゃ……」
「大丈夫、分かってる」
私のことを安心させるように、優しく微笑んでくれる。
「分かってるんだけど……万が一藤沢の中で、そんな不安があるのなら、きちんと伝えないと……って思って」
「そしたら、そもそも中3の時の件で俺の信頼あんまないよな……とか、今更だけど何であの時あんなこと言ったかなとか色々と考えだしちゃって。ちょっと上の空だったかも。ごめん」
そう言って、道の端で足を止めてこちらを向く。
「俺はずっと一緒にいるつもり……です……ので」
また、段々と声が小さくなっていく。
けれど、目を見て伝えてくれるところに、改めて早川くんの誠実さを感じる。
私が不安にさせてしまったのに、こんなに嬉しい言葉をもらってばかりで……
私も、ちゃんと伝えないと。
「まずごめん……私、無神経なことを……」
「あ、いや」
「わ、私もね。ずっと早川くんといるつもりで。私からすれば、それは当たり前で……」
「親にも、今すぐ紹介してもいいって思ってて……そういうことを当然に思いすぎて、ちゃんとその気持ちを早川くんに伝えてなかった。ごめん」
早川くんは、ありがとうと言いながら、私の頭をポンポンとしている。
これだけでも、さっきの電車よりも近くに感じる。
「っていうか、俺そんな変だった?」
「変っていうか……いつもと違うなって感じ?」
「せっかくの花火大会でごめん」
「ううん!そもそも私の発言のせいだし……」
「いや……」
「じゃ、じゃあさ!来年リベンジだね」
「え」
「来年も……一緒にいるでしょ?だからまた行こ」
そう、私たちには来年もその先もずっとある。
ずっと一緒にいるのだから。
早川くんの手をギュッと強く握り伝える。
心なしか早川くんの顔が赤いのは、照れているのか、車のヘッドライトに照らされているからなのか。

