地元なじみ。

行き当たりばったり、その場のノリ……
そういうことはしないように、いつも考えて意志を持って行動してきた。

俺の周りには、人に好かれて人が集まってくるタイプの人種が多い。
平塚がいい例だ。ちなみに兄もそう。

そんな人と近くにいると、俺は正反対だなと実感する。
だから、誰も俺を見ていなくても大丈夫なように、1人でも大丈夫なように、きちんとしてきたつもりだ。


けれど……茅ヶ崎といると、ペースが乱される。
こうやって俺らしくない行動が増える。

塾で一緒になってから、茅ヶ崎は珍しく俺に話しかけてくる女子だった。
茅ヶ崎の気持ちは知らずとも、俺の方を向いて話してくれることに、他の女子にはない居心地の良さがあった。


けれど水族館でひなたたちがイルカショーに行く時、茅ヶ崎と平塚がアイコンタクトを取っているのを見てしまった。
なんだ、やっぱり茅ヶ崎も平塚目当てで俺と話していたのか。
そんなこと過去に何度もあったのに、初めてイラっとした。

その直後のクラゲの水槽前で、館内放送にかき消された茅ヶ崎の言葉。


――もっと好きになっちゃう――


とぼけていたけれど、聞こえていた。
俺のことなのか?真意は?
気になって仕方がなかった。

その言葉で頭がいっぱいで、相手の気持ちやTPOなんて考える余裕もなく。
不躾にも買い出しの時に聞いた。

「さっきの、好きになるって誰のこと?」
「……えっ!?」