(仮)ヤンキーくんとピュアな恋をする

─千景side─
体に触れて来た女に怒鳴ってしまった次の日。
どうしても学校に行く気になれずに休んだ。
普段は寝坊しても基本的には行くようにしていたが、今日は無理だった。
朝行く時間になっても布団に包まっていると、コンコン、と部屋の扉をノックする音が聞こえた。

「兄さん、大丈夫…?」

起きてこない俺を心配したのだろう。扉をほんの少しだけ開けて声をかけてくる。
幼い弟に気を使わせてしまって情けないが、俺のことを心配してくれる家族がいるってことが嬉しかった。布団から出て、扉へ向かった。

「俺は大丈夫だ、ごめんな? 心配させて。 今日は俺学校休むから、気にするな。 」
「そっか、わかったよ。 じゃあ今日は急いで帰ってくるね!」
「じゃあ今日は久々に一緒にどっか食いに行くか」
「ほんと!?やったー!」

普段夜はバイトに行っているので、学校帰りに弁当なんかを買って帰っていた。
料理なんて作れないし、まずいもん食わせちゃ可哀想だったから。
自分は弁当買ってきたら早々に腹に詰め込んで、バイトに出かけているため、バイトが休みの日しか一緒に飯を食べたりしない。
だからこうして一緒にどこかに食べに行くってなると喜んでくれる。
バイトをしているのは完全に俺のわがままだ。寂しい思いをさせないようにできるだけ考えてはいるが、どうしても我慢させてしまっている。
だから今回のGWはバイトは全部休みにしてもらって、千尋の行きたいところに連れていくつもりだった。

小学校に向かう千尋を見送ったあと、じっとしていると昨日のことを思い出してしまって気が滅入るので、溜まった洗濯物を洗ったり、珍しく掃除なんかして過ごしていた。

ピロン♪

スマホの通知音がなり、画面を見るとナオからのメッセージだった。

『今日は来ねーの?』

ぶっきらぼうな文面なのに、なんとなく俺を心配しているのだろうということがわかる。
昨日のことを聞いてこないところも気を使ってるのだろう。

『今日はめんどいから休む』
『おけー。 家いるん?』
『いるけど来んなよ』
『じゃあ行くわ〜笑』

来んなって言ってんのにあいつは…。せっかく掃除した部屋がまた汚くなっちまう。
だけどまぁこうなることは予想していたので、早々に諦めた。