冬のはじまり、きらきら光る初雪が、野原を静かに覆いました。
その雪に埋もれた落ち葉の下、赤い背中に黒い水玉をもつ小さなテントウムシの「ルゥ」は、寒さにぷるっと体をふるわせていました。
ほんとうは冬になる前に眠るはずだったのですが、ルゥはどうしても見てみたいものがあったのです。
「雪の国のお菓子……」
それは、北風がこっそり教えてくれた噂でした。
雪がたくさん降った夜、月の光とまじりあって生まれる、特別なお菓子があるというのです。
勇気を出したルゥは落ち葉を持ち上げ、雪の壁をよじ登り、
ころころと雪の上を歩き出しました。
すると、きらきら光る坂の向こうに、小さなお菓子の町が見えてきました。
家は角砂糖、屋根はホイップクリーム。
道は飴玉で、街灯は金平糖の星。
「まあ、ちいさなお客さまね」
声をかけてきたのは、雪だるまの姿をしたお菓子職人でした。
手には、雪みたいに白いマシュマロを持っています。
「冬をがんばる生きものには、甘いごほうびがいるのよ」
そう言って、職人はルゥに雪のクッキーをくれました。
さくっとかじると、ミルクと月の光みたいなやさしい味が口いっぱいに広がります。
体の奥まで、ぽっと温かくなりました。
その瞬間、ルゥの背中の水玉が、きらきらと光り始めました。
それは、お菓子の町からもらった「冬を越える力」でした。
「ありがとう。春になったら、また会いに来ます」
ルゥはそう言って、雪の中に小さな足あとを残しながら帰りました。
やがて春。
雪がとけ、花が咲くころ。
野原では、赤い背中をきらきら輝かせたテントウムシが、元気に空を飛んでいました。
その羽ばたきは、まるで――
冬の雪と甘いお菓子の思い出を、空にまき散らしているようでした。
その雪に埋もれた落ち葉の下、赤い背中に黒い水玉をもつ小さなテントウムシの「ルゥ」は、寒さにぷるっと体をふるわせていました。
ほんとうは冬になる前に眠るはずだったのですが、ルゥはどうしても見てみたいものがあったのです。
「雪の国のお菓子……」
それは、北風がこっそり教えてくれた噂でした。
雪がたくさん降った夜、月の光とまじりあって生まれる、特別なお菓子があるというのです。
勇気を出したルゥは落ち葉を持ち上げ、雪の壁をよじ登り、
ころころと雪の上を歩き出しました。
すると、きらきら光る坂の向こうに、小さなお菓子の町が見えてきました。
家は角砂糖、屋根はホイップクリーム。
道は飴玉で、街灯は金平糖の星。
「まあ、ちいさなお客さまね」
声をかけてきたのは、雪だるまの姿をしたお菓子職人でした。
手には、雪みたいに白いマシュマロを持っています。
「冬をがんばる生きものには、甘いごほうびがいるのよ」
そう言って、職人はルゥに雪のクッキーをくれました。
さくっとかじると、ミルクと月の光みたいなやさしい味が口いっぱいに広がります。
体の奥まで、ぽっと温かくなりました。
その瞬間、ルゥの背中の水玉が、きらきらと光り始めました。
それは、お菓子の町からもらった「冬を越える力」でした。
「ありがとう。春になったら、また会いに来ます」
ルゥはそう言って、雪の中に小さな足あとを残しながら帰りました。
やがて春。
雪がとけ、花が咲くころ。
野原では、赤い背中をきらきら輝かせたテントウムシが、元気に空を飛んでいました。
その羽ばたきは、まるで――
冬の雪と甘いお菓子の思い出を、空にまき散らしているようでした。



