矢神さん僕の事誘ってます⁈

一年半後…季節は桜の舞う4月となった…



大手ハウスメーカーの『YASURAGI』の本社にずっと勤務している私は、年も31歳になり、経理部の主任に昇格した…



日尾くんと付き合っていた以来、私には相変わらず色恋沙汰なんてなく、もう生涯おひとり様を覚悟するまでになっていた



日尾くん以上の人に出会えず、日尾くん以外の人を見る気もしなく…気がつけばあっという間に一年半が経過していた…



「矢神さん‼︎この見積書大至急お願いします」



すっかり新人じゃなくなった宮部さんが可愛くなく私に見積書の作成を依頼しに来た…



「宮部さんはすっかり1人立ちしたね‼︎今やうちのエースだもんね」



皮肉っぽく言う私は苦笑しながら宮部さんに激励の言葉を向けた…宮部さんは私に向けてニコッと笑うと、「お褒めの言葉をどうも‼︎そういう矢神さんは主任に昇格ですね⁉︎さすが⁉︎恋人を作らずに仕事一筋に生きてきた人は違いますね」と皮肉っぽく言ってフフンと笑っている



「はいはい。どうせ私は寂しい独り身ですよ」と言って、宮部さんの皮肉をかわした



「いつまでも昔の恋を引きずってないで、矢神さんも恋すればいいのに…何なら私が誰か紹介しましょうか⁇」
 


今度は皮肉ではなく、本気で私のことを心配しているようだ⁉︎一度は恋敵のライバル同士だった私と宮部さんも、今ではかけがえのない会社の仲間だ…



「私はもう恋はいいや‼︎ご心配有難うございました」


 
丁重にお断りして宮部さんの紹介話をかわした…