矢神さん僕の事誘ってます⁈

「ハー何で上手くいかないのかな…」



ポツリと口に出してパソコンのデスクにもたれ掛かる私は、上手くいかない恋活に心が折れそうになっていた…



ふと営業部のデスクに目を向ければ、顧客周りから帰って来た日尾くんの姿が目に入った…



日尾くんは仕事も出来ていつも自信満々で、そんな姿が格好良いと職場の女子からも評判だ…



御伽話で言えば頭に王冠を乗せた王子様のようなものだろう…



そんな日尾くんを、私はいつも羨ましく思ってしまう…



頭にティアラを乗せたキラキラとした女子達のように、私の目には日尾くんの頭に王冠が乗っているように見えるのだ…



ハウスメーカーの営業の仕事は多忙で忙しい…



決められた顧客の人達の所を回って、家のメンテナンスからリフォームの提案、時には簡単な修理も行う



会社に帰ると見積書を作成したり、お客様にメールを送ったりする作業が残っている…



お客様の要望に応えてインテリアコーディネーターの人とお客様のご自宅を回ったり、住まいの修理箇所や点検をする事も営業の仕事だ



私達経理は営業の人達が取ってきた仕事の見積書を作成したり、伝票の計算をしたり、月末の経費の計算をしたり、何かと営業の人達と関わる事は多い…



特に日尾くんはお客様や顧客の方達の信頼も厚い為、営業の腕はピカイチで、次々に仕事をとってくるうちのエース的存在な為、見積書を次々と経理に運んでくる…



基本的にあまり接待などはなく、経費で落とす物は少ないが、足に使ったタクシー代や電車代など、経費で落とせる物は全て領収書を持参して経理に訪れるのだ



「矢神さん‼︎この見積書すぐに作成できますか⁇」



今日もお客様からキッチンのリフォームの依頼があったと日尾くんが見積書の作成の依頼をしに私の元を訪れた



相変わらず一番奥に位置する私のデスクまでわざわざ足を運ぶ日尾くんはまた私を揶揄いに来たに違いない…



「はいはい。今作成するよ‼︎日尾くんは仕事とってくるのが上手いね」