「川崎さん、このままじゃ辞めるかもしれないですよ」
そう彼女の上司に警告すると、手のひらを返したように彼女への対応が変わった。
彼女のためなのか、自分のためなのか──
これで止まってくれればいいが。
もしかしたらそれでも辞めるかもしれない。
モタモタしてる場合じゃない。
俺は彼女に近づく決心をした。
──が
その日、定時に仕事が終わって、ビルから出ると──
川崎さんがいた。
「川崎さん」
声をかけた。
しかし彼女は誰かと一緒だった。
『男』だった。
ただ、かなり若い。
どういう関係だ?
「その子は?」
彼女が気まずそうにしている。
「えーと……」
なぜ躊躇う?
二人を見てると違和感しかない。
もしかして……
「弟?」
似てはいないが。
その時、その男が前に出た。
「夫です」
「夫……?」
夫──
頭が真っ白になった。
なんだその冗談。
「はい。俺と七海さんは夫婦です。結婚しています」
彼女が慌てている。
「あの、これには深い事情が……」
なんだ、事情って。
夫婦……結婚?
なんだよそれ。
やっと、やっと、動き出そうとしたのに。
見た目社会人じゃないだろ。
何なんだよ、どこで何があってそうなったんだよ。
でも、そんな事を言える状態じゃない。
「そうか。おめでとう」
そう言うのが精一杯。
何とか笑顔を取り繕った。
「ありがとうございます」
彼女は頭を下げた。
マジかよ。
きつ。
もう問答無用で諦めるしかないし、これ。
そんな空虚な心を必死に立て直して、彼女に言った。
「あ、俺言っておいたよ。川崎さんにこれ以上無理させるなって」
「え?」
彼女は驚いた後、また頭を下げた。
「ありがとうございます……」
何だその他人行儀な態度。
彼女にとって俺はただの会社の人間で、それ以上でもそれ以下でもなかった。
それを突きつけられた。
「じゃあ、また明日」
やってられねぇ……。
そう彼女の上司に警告すると、手のひらを返したように彼女への対応が変わった。
彼女のためなのか、自分のためなのか──
これで止まってくれればいいが。
もしかしたらそれでも辞めるかもしれない。
モタモタしてる場合じゃない。
俺は彼女に近づく決心をした。
──が
その日、定時に仕事が終わって、ビルから出ると──
川崎さんがいた。
「川崎さん」
声をかけた。
しかし彼女は誰かと一緒だった。
『男』だった。
ただ、かなり若い。
どういう関係だ?
「その子は?」
彼女が気まずそうにしている。
「えーと……」
なぜ躊躇う?
二人を見てると違和感しかない。
もしかして……
「弟?」
似てはいないが。
その時、その男が前に出た。
「夫です」
「夫……?」
夫──
頭が真っ白になった。
なんだその冗談。
「はい。俺と七海さんは夫婦です。結婚しています」
彼女が慌てている。
「あの、これには深い事情が……」
なんだ、事情って。
夫婦……結婚?
なんだよそれ。
やっと、やっと、動き出そうとしたのに。
見た目社会人じゃないだろ。
何なんだよ、どこで何があってそうなったんだよ。
でも、そんな事を言える状態じゃない。
「そうか。おめでとう」
そう言うのが精一杯。
何とか笑顔を取り繕った。
「ありがとうございます」
彼女は頭を下げた。
マジかよ。
きつ。
もう問答無用で諦めるしかないし、これ。
そんな空虚な心を必死に立て直して、彼女に言った。
「あ、俺言っておいたよ。川崎さんにこれ以上無理させるなって」
「え?」
彼女は驚いた後、また頭を下げた。
「ありがとうございます……」
何だその他人行儀な態度。
彼女にとって俺はただの会社の人間で、それ以上でもそれ以下でもなかった。
それを突きつけられた。
「じゃあ、また明日」
やってられねぇ……。



