【番外編集】三十路の社畜OLが出会った翌日に八才年下男子と結婚した件につきまして

──翌日

「何その目……」

目が腫れている。
泣いてたのか?

「色々あるんですよ……」
「またかよ」

彼女は不機嫌になって行ってしまった。

気になって気になって仕方がない。
なんとかして聞き出そう。

◇ ◇ ◇

仕事が終わってすぐにビルの前で彼女を待っていた。
彼女がビルから出てくると、俺を見て驚いている。

「何してるんですか」
「聞いてあげようと思って」
「いいですよ。別に」

強がって、一人で抱え込んでいるんだろう。
また潰れるんじゃないか……?

「川崎さんさー。もう俺たちバラバラになるわけじゃん?」
「そうですけど……」
「腹割って話そうよ」

こんな言葉を使いたくない。
でも──

「信用してよ」

彼女が戸惑う。

「そんなこと言われても……」
「奢るから」

そう言うと、やっと頷いた。

そして店に入ると、堰を切って溢れたように、彼女の口から大量の愚痴が流れ出た。

「私悔しくて悔しくて!あんなやつの秘書とか絶対やりたくない!!」
「うん……」

聞いたら相当ヘビーだった。
こんなに彼女が何かを話すのを今まで見たことがなかった。
彼女の今置かれている状況の深刻さが伝わる。

「クソだと思いませんか?あんなのが副社長とか、日本も終わりですよ!」
「仕事とプライベートは別だと思うけどな……」
「はい!?」
「なんでもない」

未遂だったからよかったけど……危険だな。

「でも、何もなくてよかったな。昨日」
「はい。本当、なにごとかと思いましたよ」

なんでそんなことをされたのに、まだ──

「あのさ……。そんなに辛いなら、もうやめろよ」
「え?」
「あの会社の御曹司とガチでやり合うなんてバカだよ」
「は!?」

彼女の目に鋭さが増す。
これは何を言っても火に油だ。

店で会計を済ませて外に出た。

しばらく何も話さず二人で歩いていると──

「スミマセンでした」

やっと落ち着いたか。

心配だ。
ただ、俺はただの同じ会社の人間であって、これ以上彼女に干渉できない。
今彼女を救える唯一の人間は……。

「スマホかして」
「え?なんでですか?」
「確認したいことがある」

恐る恐る彼女がスマホを差し出した。

「すぐ返してくださいね」

俺は電話をかけた。