──月曜日
朝から川崎さんとその上司が打ち合わせをしていた。
「すみません、一身上の都合により、退職します」
──は?
「まいったな。君の後任が思いつかない。退職後はどうする?」
「別の企業に行きます」
別の企業?どこだよ。
「今まで無理をさせてすまなかった」
上司が頭を下げている。
「……はい。正直かなりしんどかったです。後任の人はちゃんと配慮してあげてください」
無理していたのはわかっていた。
ただ俺ができることには限度がある。
彼女が選んだ道だ。仕方ない。
廊下で彼女を待ち伏せた。
彼女が俺に気づいて立ち止まる。
「辞めるんだ」
「はい。色々あって」
色々……?
「もしかして……“ 勇凛くん”関係?」
「……あの会社に入らないといけなくなったんです」
あの会社──
「は……?あの会社って林ホールディングス……?」
「はい」
「何があったんだよ」
「私は人質みたいなもんですよ」
人質……?
「意味がわからない」
──沈黙が流れた
「森川さん、色々ありがとうございました」
彼女が頭を下げた。
なんだそれ。
「……結婚の次は退職か」
退職するなら、もうこの実らない関係を断ち切れる。
──と思っているのにもかかわらず、
「連絡先聞くのはアリ?」
まだ未練がある。
彼女が戸惑う。
俺はボールペンを出して、彼女の手の甲に番号を書いた。
「え!?」
「なんかあったらいつでも連絡して」
僅かな望みをかけていた。
朝から川崎さんとその上司が打ち合わせをしていた。
「すみません、一身上の都合により、退職します」
──は?
「まいったな。君の後任が思いつかない。退職後はどうする?」
「別の企業に行きます」
別の企業?どこだよ。
「今まで無理をさせてすまなかった」
上司が頭を下げている。
「……はい。正直かなりしんどかったです。後任の人はちゃんと配慮してあげてください」
無理していたのはわかっていた。
ただ俺ができることには限度がある。
彼女が選んだ道だ。仕方ない。
廊下で彼女を待ち伏せた。
彼女が俺に気づいて立ち止まる。
「辞めるんだ」
「はい。色々あって」
色々……?
「もしかして……“ 勇凛くん”関係?」
「……あの会社に入らないといけなくなったんです」
あの会社──
「は……?あの会社って林ホールディングス……?」
「はい」
「何があったんだよ」
「私は人質みたいなもんですよ」
人質……?
「意味がわからない」
──沈黙が流れた
「森川さん、色々ありがとうございました」
彼女が頭を下げた。
なんだそれ。
「……結婚の次は退職か」
退職するなら、もうこの実らない関係を断ち切れる。
──と思っているのにもかかわらず、
「連絡先聞くのはアリ?」
まだ未練がある。
彼女が戸惑う。
俺はボールペンを出して、彼女の手の甲に番号を書いた。
「え!?」
「なんかあったらいつでも連絡して」
僅かな望みをかけていた。



