【番外編集】三十路の社畜OLが出会った翌日に八才年下男子と結婚した件につきまして

──数日後

オフィスの廊下を歩いていると、川崎さんが暗い表情をしてフラフラと歩いていた。

「……どうしたの?」

「なんでもないです……」

「いや、明らかになんかあったでしょ」

「まあ、色々あるんですよ……」

「色々って?」

嫌そうな顔をしている。
聞きすぎたか?いやでも気になる。

「もしかして、あの子のこと?」

「勇凛くんのことですか?」

「勇凛くんっていうのね」

名前を聞いてまたダメージをくらう。

「私の夫なんで、あの子とか言うのやめてください」

俺を鋭い目で見た。
ただでさえどうしようもない状況なのに、嫌われたらおしまいだ。

「……ごめん」

これ以上距離を置かれたくない。

「話したら少し楽になるかもよ?」

でも、引き下がることもできず。

「誰にも言わないでくださいよ……?」

「うん」

「勇凛くんは……勇凛くんの家族は、林ホールディングスの経営者なんです」

──まじか

「……それはハードだな」

「はい……」

出会った次の日に結婚して、実は相手が大手企業の社長の息子だったとか、ファンタジーすぎるだろ。

「どうなるかわからないけど、とりあえず挨拶して帰ればいいんじゃないの?」

「それだけで済めばいいんですが……」

深刻な顔をしている。
そういう顔をすると、放っておけなくなるだろ……。

「じゃあ、気晴らしに飲みに行く?」

「いえ、お酒はもうこりごりです」

「俺となんかあったら大変だもんね」

「え?」

「じゃあ頑張ってね」

虚勢を張るしかない。

惨めだ。

また凹む。