イメージを取り戻せ‼︎私はお悩み相談所じゃない!

赤谷紅子(あかたにべにこ)さん。あなたには人間界へ行って欲しいのです」
「はい?」

 この世界は人間の世界とは別にと色の世界がある。二つの世界はお互いに刺激を与え合って別々の世界で暮らしている。
 そんな色の世界に過ごす私の名前は、赤谷紅子(あかたにべにこ)。赤い髪に赤い瞳がトレンドマークの元気な高校一年生。
 そんな私は、入学早々に学園長に呼ばれ理解のできないことを言われている。

「あっ、もちろん人間界でも過ごせるように、ちゃんと支援するからね」
「いえ、私が驚いたのはそう言うことではなくて!なんで急に人間の世界に行けと言っているのですか⁉︎」
「うーん。説明が難しいのだけど…」

 そう言って学園長は私に詳しく説明してきた。なんとか自分なりに理解して話を聞く。

「–––つまり、人間たちによって色のイメージが変わってしまった。そのせいで、色たちの感情や名前が失われている。そういうことですか?」
「そう!私たちは、人間たちと共に生きていかないと行けない。しかし、私たちの名前やイメージが変わったら忘れられてしまうとどうなるか習ったよね?」
「……はい」

 名前が忘れられる。イメージが変わってしまう。それは元々持っていた感情を無くしてしまったり、最悪の場合、消えてしまったりする。

「紅子さんたちのようなまじりけのない、最も鮮やかと言われる純色(じゅんしょく)。色と人間、どちらの世界でも重要な存在なんだ」
「それは、知っています。でも他の色と違って、安定していた純色のイメージがそんな簡単に変わりますか?」
「だから、確かめて欲しいんだ。君に」
「私がですか?いくら私でも多くの人間のイメージを取り戻すことは難しいです!」

 私たち色が持つイメージ。それは自分自身を決めるとっても大切なもので、多くの人間によって私たちは作られた。私だったら情熱の赤!とかそういう感じに。

「大丈夫!それに、入学してもらって悪いんだけど君のクラスメイト、全員欠席してるんだ。だから、そもそも君に学校生活をさせてあげられないんだ」
「え?全員?私以外の23色?」
「そう。イメージとは別になぜか君以外の色は全員来ないんだ!」
「そ、そんなぁ……。笑えることではないですよ。私、やっと学校に通えると思ったのに!」
「そこは、人間界でも学校に入れるように手配しておくから大丈夫!紅子さんにはその学校でなぜイメージが、変わってじまったのか。どうして色相環(しきそうかん)と言われる重要な色達が学校に来ないのか調べてきて欲しいんだ」

 今さっきからすごい大丈夫だって言われているいるけど、人間の世界だなんて私、無理だよ!!

「本当に無理なんですよ」
「大丈夫!早速準備するね」

 先生が机から白色の大きい筆を取り出した。そうして、空中に何かを描き始めた。

「え?本当に私は行かないといけないのですか?」
「うん。だってこのままだと"赤"を持つ君まで変わってしまうよ?」
「それでも、順序というものがありますよね⁈」
「大丈夫、大丈夫!あっちの学校にもたくさんの色があるから、校外研修だと思って行っておいで」

 そう言いながら空中大きな白色の扉が完成した。学園長はその扉を開けて中を確認している。

「うん!大丈夫そうだね!じゃぁ、いってらっしゃい!」

 背中を押される。とっさのことで対抗することもできない。

「えっ?待って、まだ!」
「あっ、そうそう!人間に紅子さんが色だってバレないようにしてね〜!!」
「今、大事なこと言います⁉︎」

 まばゆい光が私を包みこむ。あぁ私本当に人間の世界へ行くんだ……。

「……あの子達を助けてあげてね。情熱とそして愛情を持つ赤の君が…」

 光が収まっていく。あたりは真っ暗で自分がどこにいるのかもわからない。
 うぅ……。目がしょぼしょぼする。そういえば授業で急に暗いところから明るいところになると瞳孔の縮小が起きてしょぼしょぼする…みたいなこと言ってたっけ?
 授業サボって寝ていたからあまり覚えていないや。というか……。

「学園長急すぎ!私、まだあの色に言いたいことがあったのに!!」
「色?」
「‼︎誰?」

 声がした方を向くと黒色の髪と目を持った男の子が座っていた。
 やばいよ!色だってバレないようにしないといけないのに!どうしよう、どうしたらいいの!

「僕は黒野四保(くろのしろ)。君は?」

 黒野白くん?二つも色が入っているなんて……。

「わ、私は赤谷紅子。名前に黒や白が入っているってことは白くんも色なの?」
「え?今さっきも言っていたけれど色って何?」
「そ、それは…」

 ミスした!自分から言わないって決めたのについ話してしまった。本当に困ったぞ……

「……大丈夫。頭おかしいやつだなんて思っていないから」
「そ、それはそれで…なんか。あぁ!上手に説明ができない!」
「ふふっ紅子ちゃんは面白いね」
「まぁね!私は明るい元気な赤だから!」
「紅子ちゃんは赤色なの?」
「そうだよ!赤い目と赤い髪がトレンドマークの…」
「どうしたの?」

 自分の髪の色を見てみる…。待って私赤色じゃなくなってる?嘘、私赤色じゃないの?

「ねぇ、白くん私何色に見える?」
「え、えーっと……。茶色?いや、黒だと思うよ」
「黒?どうして?私も消えちゃう?そんなのやだ」
「赤色から黒色になると紅子さんは消えちゃうの?」
「そうなの、見た目で私たちは消えるか消えないか判断するから、でもこんな急に変わるなんてこと聞いたことないよ……何が起こっているの?」

 人間の世界に来た影響?それとも、本当に赤のイメージが変わってしまった?

「うーん。もしかしたら紅子さんが馴染めるように黒色にしたのかもしれないね」
「そ、それはどういうこと?」
「紅子さんの世界は髪も瞳も自分が持っている色が反映されているんだよね?」
「うん」
「こっちの世界では、黒や白、茶や金色が主な髪色なんだよ」
「赤色の人とかいないってこと?」
「それは少し違うかなぁ……。髪を染めるって言って黒色から茶色に、それこそ赤色にする人だっているよ」

 髪を染める……。人間は生まれながら持っている色を変えても消えることはないんだ…いいなぁ。

「髪を染めている人がいるのに、私の髪を馴染めるようにする必要があるの?」
「赤も素敵だと思うけど、この国は日本っていうんだけど日本だと黒色の髪がとても多いんだ」
「だから、赤は目立つ?」
「そうだね。それに、僕にはバレちゃっけど本当は紅子ちゃんは色だって知られたらまずいんだよね?だから、その学園長が、こっちの世界に来た時にバレにくいように黒色にしたのかもね」

 そういえば、人間にバレたらいけないんだった!もう、白くんに知られているからすっかり忘れていた。

「なんか、白くんの話を聞いたらそうだとしか思えなくなってきた!」
「それなら、よかった」

 なんか、白くんなら大丈夫な気がしてきた!バレてしまったのも学園長のミスだし私は悪くない!

「紅子ちゃんはなんで色の世界からこっちの世界にきたの?」
「私は色がこれ以上消えないために来たの」

 なぜこの世界に来たのかを話した。

「色が消えるってそういうことなんだね」
「そうなの!でも、どうすればいいのかわからないんだ」
「じゃぁ、それ僕も手伝う」
「本当⁈でも、まずクラスメイトだけでも23色はいるし」
「それのことなんだけど、多分学校にそれらしい人?色達結構いると思う」
「学校!」

 そういえば、私も学校に通うとか言っていたなぁ。

「学校に行かないと!」
「待って、学校は今日はもう閉まっているよ」
「そういえば夜だったね。じゃぁ…明日?学校に行けばいいのかな?でも、私制服とかないし」
「紅子ちゃんが来ている服」
「この服のこと?」

 言われるまで気づかなかったけど、服もこっちの世界に合わせて変わっているみたい。大きな赤いリボンがとっても可愛い。

「それ、うちの学校の制服なんだ」
「そうなの⁉︎じゃぁ、私明日から通えるのかな?」
「うーん。まぁ、明日にならないとわからないね」
「結局明日か…」

 まぁ、初日から上手に行くわけでもないし。

「よし!明日頑張るぞ!じゃぁまたね!」
「また、紅子ちゃん帰る家あるの?」
「はっ!ない!」

 忘れてた……。家どころか服もこれ以外ない。あれもこれも、全部学園長が急に私を人間の世界に送ったからだ!

「紅子ちゃんがよければだけど、僕が住んでいるマンションに来る?」
「え?いいの?」
「うん。高校生になって一人暮らしを始めたんだけど、まだ一部屋何も使っていないところがあるから。嫌じゃなければだけど…」
「全然嫌じゃないよ!むしろ白くんに頼りすぎていて私これ以上迷惑じゃないかな?」
「それは、大丈夫。僕がしたいと思ったから」

 白くん……!いい人すぎるよ!

「じゃぁ、お願いします!」
「うん。よろしく」
「よろしく‼︎」

 ––––そうして、私と白くんの色のイメージを変える物語の幕が上がった。