君がくれたチャンスを  絶対に逃さない

「ん...」
 視界が開けてくる。そこは、真っ白で大きな天井が広がっていた。
 ぴかりと光る電気が、まぶしく思える。少し目が痛くなるくらいで、残像が残る。
 頭にはふかふかのクッション。ほどよい柔らかさのクッションとさわり心地の良いカバー。まるで体が浮いていると錯覚するような柔らかなベッド。
 ...と、男3人。
 除いてくる男の人たちは、私が目を開けたのを確認すると微笑んだ。
「あ!れいく~ん!この子、起きたよ?」
「ほんとだ」
「わぉ。美人」
「やめなさい」
 ペラペラとしゃべり出す男の人たち。
「あー。起きた。俺、俺。楽屋で倒れてたから、寝かしといた。」
 流れるように話す男の人は、Reinaちゃんだと思う。そうか...私、楽屋で倒れて...。
「あ、ありがとうございます。あの、ここって...?」
 先ほどまでいた楽屋とは比べものにならないくらい、豪華で広い。片付いてるし、男4人が入っても暑苦しくないし、私が寝ているベッドもふかふかだ。
「あ、ここ、俺の部屋。というより...家?」
「そうなるね。」
 家か。...ん?家?男n((推しの?
「あ、会社の寮だ。安心しろ。」
 そういうことじゃないと思うんだけどね!?
「じゃぁ、とりあえず自己紹介しよっか?」
「あ、そうだな。」
 自己紹介か。確かに、私も名前も教えてないよね...。
「じゃあ私から!山崎ことはです!スペースハートさんが大好きです。あ、あと、多分ですけどMiriさん、Saikaさん。それからRisaさんですよね?」
 ...どうせReinaちゃんみたいに、性別詐欺をしt...あれ?なんかみんなぽかんとしている気がする。
「...す、すいません。間違っちゃいましたか?」
 私が謝ると、みんな首を横に振った。数秒の沈黙。...気まずい。
「すげ。」
「なんで分かったの?」
「俺ばれない自信あったのに。」
 なんか、みんな少しがっかりしている気がする。
「えと、すいません」
 なんとなく申し訳なくて、謝った。でもなんか、「当てちゃってすいません」ってあおっているみたいだな、なんて思って、後で後悔した。
「や、別に良いけどさ、俺ら、そーゆーの当てられたことなかったって言うかその...」
「別にイヤじゃないよって謝ってるみたい」
「るせっ」
 声は、どこか聞き慣れた声なのに、会話は、とてもいつも道理とは言えずに、新鮮で、「ふふっ」と笑ってしまった。けれど、びっくりされて謝ったら、後輩なんだからペコペコするなと叱られた。
「あ、ノヴァリスに入るってのはどう?」
 思いついたように言っているけれど、私には聞き慣れた単語ではない。
「の、のう゛ぁりす...?」
 聞いたことのない単語に、私は首をかしげる。
「うん。そうだよ。新しいグループなのっ!」
 ニコニコと言っているが、なかなか頭に内容が入ってこない。
「俺も賛成」
「いいんじゃね」
「かってにどーそ」
 みんなうなずいているが、私はないようについて行けない。
 頭の中がごちゃごちゃで、疑問符が頭の中を走り回る。
「あっあの!何言ってるかよく分からないです。自己紹介もまだだし...。」
 私は、戸惑っているが、少し情報を整理するためにも、自己紹介は大事だと考えた。
「じゃぁ、俺から。木下礼央斗。君の言う通りReinaで、グループで人気一位でっす☆」
 そうなんです~!私の推し、人気なんです~!じゃなくて!
「ねぇ、突っ込んで?気まずいから。あ、次才治な。」
「宮本才治...Saika」
 すごく短く、シンプルな自己紹介。
「ごめんごめん。こいつ無口でさ~。さっきまでは結構口開いてたと思うんだけど。」
 Saikaちゃんって、無口なんだ。動画では、司会進行してるのに。ぴっくり。
「じゃぁ次ぼくだよね?僕は、日々元理咲。Risaで、あんまり声作ってないんだよね。ほら、僕って女声でしょ?以外とコンプレックスだったりするんだけどね~。」
 ニコニコと笑いながら言う割には、話題にしにくい。
「突っ込みにくい自己紹介すんな。」
 確かに、Risaちゃんと同じ声かも。金髪も似合ってるし、かわいいっ!
「これでおわりだね。」
「澪っ!おまえが自己紹介してないだろ!」
 ぽけーっとしていて、何を考えているか分からないけど、なんとなくすごいな。天才オーラみたいな?
「あぁ、そっか。おれは坂城澪。。Miriで、うーんと運動が嫌い。」
 確かに...。なんか少しだけ、周りの人と比べて、背も低いし華奢な体つきだ。でも、なんか、何考えているか分かんない。真夏なのに分厚いパーカー来てるし。
「あっありがとうございます!えっと、次、私でいいんですよね?」
「うん。」
「じゃぁ。山崎ことはです。えっと、ことはは平仮名で15歳。中学生で、Reinaちゃん推しです。運動は苦手で、勉強はある程度できます。歌うのは好きです。」
 名前、年齢、苦手なことと得意なこと、好きなこと。ちゃんと自己紹介できたと思う。
「そっか~うちの事務所に向いてるね。」
「どれくらい頭が良いんだ?」
「親はどんな仕事してる?」
「どこ出身?」
 皆さん一気に質問してくる。あはは...。
「えっと、東大の受験のあたりは大体網羅していて、親は、ファストクラーの社長。神奈川県出身です。」
 一つ筒答えたつもりだけど、ちゃんと伝わっているか心配だ。