それは、数日経ったある日。Bが腕にギプスを巻いて登校したのだ。ざわざわとする教室内。男子達が「どうしたんだよ?」と言うと、Bはぼそりと
「Aに突き飛ばされて階段から落ちた。骨折した」
と、言った。その一言に教室はざわついた。
ガタン!と勢いよく立ち上がったA。彼女に注目が集まると、ぼろぼろと大粒の涙を流してBを睨みつけていた。
「いい加減にして! 毎日毎日……! その怪我だって、今日私に嫌がらせをするために剣道場に来て、自分で階段から落ちたでしょ!? それなのに、それなのにっ……!」
優しく、大人しかったAが取り乱し、声を荒げた。
もちろん、みんなAの味方になった。Bは孤立した。
だけど、この時のことで私には他の人に言えないことがある。
Aの1番近くにいた私。言い終えて、顔を両手で隠しながら泣いて椅子に座った彼女をなだめるために、駆け寄り、彼女の背中をさすっていた時。
彼女の両手の間から顔が見えたのだ。
その顔は、にやりと笑っていた。


