追放令嬢が可愛い犬を拾ったら実は狼の神獣でした〜なぜか気に入られて国を滅ぼしそうな勢いです〜

「エリス様!朝ですよ!」

 コンコン、とノックされた後に、メイドが部屋に入ってくる。メイドの声でエリスが目を覚ますと、隣で寝ていた狼姿のイリオも目を覚まし、くわぁっとあくびをした。

(良かった、狼の姿だわ)

「おはよう」

 そう言ってエリスがイリオに抱きつくと、イリオは嬉しそうに尻尾をブンブンと振っている。

「もうすっかり元気になりましたね。そろそろ森に返してきてください」
「あっ、……ええ、そうね。今日森へ行ってくるわ」

 エリスがそう言ってイリオから体を離すと、イリオは耳と尻尾を垂らしてクウンと小さく鳴いた。





「それで、お前は俺をこの森に捨てるのか」

 朝食を食べてから、エリスは狼姿のイリオを連れて森に来ていた。森に到着し、周囲に人がいないことがわかると、イリオはすぐに人の姿になって開口一番そう言った。

「う、だって……傷がちゃんと治ったら森に返すって、メイド長と約束していたんだもの」
「そうかそうか、エリスは冷たいんだな。ここに置いて行かれた俺は、また死にそうになるかもしれないな。いや、今度こそ死んでしまうかもしれない」
「そういえば、なぜ死にそうになっていたの?」

 そもそも、どうして神獣ともあろう存在が、森の中で瀕死の状態だったのだろうか。エリスが不思議に思って尋ねると、イリオはニヤッと笑みを浮かべる。

「知りたいか?俺を屋敷で一緒に住まわせてくれるなら詳しく教えてやるよ」
「なっ……!意地悪ね」