追放令嬢が可愛い犬を拾ったら実は狼の神獣でした〜なぜか気に入られて国を滅ぼしそうな勢いです〜

 胸の前で片手をぎゅっと握り締め、エリスはイリオを真剣な眼差しで見つめる。さっきまで揺らいでいたローズピンクの瞳は、すっかり固い意思を持った瞳に変わっていた。

「私は、イリオと一緒に行く。イリオとずっと一緒にいたいもの」

 エリスの言葉を聞いて、イリオは両目を見開き、嬉しそうに微笑む。それから、エリスの手を取って引き寄せ、抱きしめた。

「絶対に幸せにする。今度こそ、エリスを守って見せる」

(今度こそ?)

 そう言えば、イリオは今までも何度かそういう言葉を口にしている。エリスは不思議に思って尋ねようとするが、それを待たずにイリオはエリスの手を取って大きな木の穴の前に立った。

「ここを通れば、あちらの世界だ」

 イリオに言われて、エリスは向こうの世界を見つめる。そして、そっと穴の中に手を伸ばした。

バチン!

 エリスの指先が光と共にはじかれる。はじかれた衝撃でエリスは倒れそうになるが、イリオがエリスの背中をキャッチした。

「大丈夫か?」
「う、うん、ありがとう」

 エリスを跳ね返した世界の入り口は、さっきまで見えていたあちらの世界の景色がゆらゆらと揺れ、消えてしまう。

 突然のことにエリスは驚いて目を見開いていると、エリスの胸元が突然赤紫色に輝き、すぐにその光は消えていった。それを見てイリオは顔を顰めて唸る。