追放令嬢が可愛い犬を拾ったら実は狼の神獣でした〜なぜか気に入られて国を滅ぼしそうな勢いです〜




――お前は本当にしぶといな。いつまで続けるつもりだ

 狼姿のイリオの前に、レイヴンはちょこちょこと周囲を歩きまわる。

「あんたが俺を側に置いてくれるまでだよ。俺はあんたの側で生きていきたい。あんたは命の恩人だ。それに、あんたは俺みたいなちっぽけでどこにでもいるただのカラスの生き様を、きちんと見ていてくれた。そんなあんただからこそ、俺はこの命をあんたのために使い切りたい」

 レイヴンの黒い宝石のような瞳が月明かりに照らされてキラキラと光る。イリオはワフ……とため息のようなうめき声を鳴らすと、その場に座る。

――お前は諦めるということを知らないのか。まあいい。そこまで言うなら、お前を従者にしてやろう

「本当か!?」

――だが、俺はこの森の神獣だ。神獣の従者になるということは、お前の命は俺が全て掌握するということだ。お前の寿命も延びる。簡単には死ぬことは許されない。お前はこの森のために生き、働く。それでも、お前は俺の従者になりたいか?

 イリオの言葉に、レイヴンはゴクリと喉を鳴らした。この大きな狼は神獣で、従者になればもう自分の意思で死ぬことも許されない。だがたとえ、そうだとしても。

「ああ、構わない。あの時、俺は一回死んだようなものだ。でも、あんたに助けられた。あの時から、俺の命はあんたのものだ。後悔なんてしない」