追放令嬢が可愛い犬を拾ったら実は狼の神獣でした〜なぜか気に入られて国を滅ぼしそうな勢いです〜

 それもそうだろう。これだけボロボロな、目の前の狼にしてみれば小さいか弱いカラスだ。こんなもの食べてもまずいだろうし腹も膨れない。レイヴンは自嘲気味に笑う。だが、空を見上げた狼はすぐにまたレイヴンを見下ろす。そして、そっと鼻先をレイヴンに向けた。

 レイヴンの体がエメラルドグリーンに輝く。そして、みるみるうちにレイヴンの体のありとあらゆる傷があっという間に回復していった。

(は?え?どういうことだ?)

 レイヴンの傷はすっかり治り、横たわっていたレイヴンは立ち上がる。どこもいたくないし、血も吐くことが無い。呼吸も正常だ。信じられない気持ちでレイヴンは狼を見つめると、狼はふん、と鼻を鳴らしてその場から立ち去ろうとする。

「ちょっ、待ってくれよ!一体どういうことだ!?あんた、俺を助けてくれたのか!?」

 レイヴンが慌てて話しかけると、狼は振り返ってまたふん、と鼻を鳴らす。

――お前、仲間を助けてそんな状態になったのだろう。お前は普段から周囲のカラスとの調和を守り、自分のいる場所と仲間を守って来た。お前のようなカラスを失うのは惜しい。そう思っただけだ。ただの気まぐれだ、気にするな。あとは自由に生きろ

(俺の行動を、生き様を知っているのか?どうして?それに傷もあっという間に治っちまった。この狼、一体……)

 レイヴンは唖然として狼を見つめていたが、狼は気にする様子もなく、その場を立ち去ろうとする。

「あっ、待ってくれ……!うわっ」

 レイヴンが呼び止めようとしたその時、突然突風が吹いて目の前が見えなくなる。風が止んだ時には、もう狼は目の前からいなくなっていた。