追放令嬢が可愛い犬を拾ったら実は狼の神獣でした〜なぜか気に入られて国を滅ぼしそうな勢いです〜

(イリオの手、大きくて温かい)

 イリオの手にエリスがすり、と擦り寄ると、イリオはまた耳をピクッと震わせ、尻尾はさらに大きくブンブンと振られている。

「それにしても、追放されたとはいえ冤罪なのはお前の家の人間だって知っているんだろう?それなのに、お前にだけ食糧が別なのはおかしくないか?なぜお前の家の人間はお前をぞんざいに扱う?」
「それは……私が魔女の子だからだと思う。お父様は、結婚していたにも関わらず、魔女だったお母様と出会って私を授かったそうなの。お父様は義母様に、魔女にたぶらかされたって言って許してもらったそうよ。だから、今回私が第一王子をたぶらかしたのも、冤罪じゃなくて本当なんじゃないかって家の人たちはみんな疑ってる」

 本当は、出張で訪れていた国でエリスの本当の母親と出会い、父親の方から声をかけたらしい。

 結婚していることを隠してエリスの本当の母親と結ばれ、エリスが生まれる。だが、仕事が終わり屋敷に帰る頃になるとエリスの父親は結婚していたことを打ち明け、ショックを受けたエリスの母親は、その後徹底してエリスの父親とエリスを拒んだ。

 流石にまだ幼いエリスをそのまま置いていくのは気が引けたのだろう、エリスの父親はエリスを連れて屋敷に帰り、家族には魔女にたぶらかされたと言い張ったのだった。エリスの父親の話を聞いた義母はひどく怒ってエリスにきつく当たった。エリスの父親と義母との間にはそもそも子供がいたので、家ではエリスは娘というよりも侍女のような扱いを受けていた。

 エリスの話を聞きながら、イリオはウーッと唸っている。怒りにまかせて何かに噛みつきたくて仕方がないが、噛みつく相手が無くてひたすらに我慢しているように見える。それから、グルル、と小さく唸ってからチッと舌打ちをした。