追放令嬢が可愛い犬を拾ったら実は狼の神獣でした〜なぜか気に入られて国を滅ぼしそうな勢いです〜

「元々存在意義が無くなってきていた上に、攻撃されて必要ないと定義されてしまったようなものだ。俺は力をほとんど無くし、山から逃げることしかできなくなっていたんだ」

 必死に逃げるが途中で瀕死の傷を負ってしまう。もう生きてはいられないと思ったのだろう、血だらけのイリオを見て兵士たちは嘲笑いながら帰っていった。イリオはボロボロになりながらエリスと出会った森で力つき、地面に倒れそのまま死ぬのを待っていた。

「だが、そこにお前が現れた。お前がやってきた時、周囲の精霊たちがやけに喜んでいて驚いた。精霊にあれだけ愛されている人間は珍しい。それに、お前が俺にかけてくれた治癒魔法にも驚いた。俺に通常の人間の治癒魔法は効かない。だが、なぜかお前の魔法は俺に効いたんだ。だから、お前は俺にとって特別な存在なのかもしれないとそう思った」

 そう言って、イリオはエリスの手をとって優しく口付ける。

「なっ!」

 エリスが驚いて声を上げると、イリオは妖艶な眼差しでエリスを見つめる。サファイアのような美しい青色なのに、チリチリと焦げてしまいそうなほどその眼差しは熱い。

「さて、俺の話はしたぞ。今度はまたお前の番だ。どうしてお前は国から断罪されたんだ?」

 エリスの手を握ったままイリオは尋ねる。握られたエリスの手は、ほんの少し震えていた。

「……私は、この国の第一王子をたぶらかした罪で追放されたの。私をこうして領地の外れに追いやることで、私の家はなんとか爵位の剥奪を免れた。私は、この国で表立って生きていくことができない人間なの」