一滴ポーション、俺クマちゃん!?

気が付いてまた戻って行くと夜にイルミネーションが行われるのもあって最初来た時よりも街中は家族連れやカップル、友達グループなんかで大変混雑していたワン。

「帰るの遅くなっちゃいそうだなぁ…」

心配されると大変だからとフミちゃんがお母さんに連絡を入れると後で車で迎えに来てくれると返事が返ってきたワン。

「もうっ、それなら最初から車で来れば良かったのに……」

お洒落な格好をした人達の中1人だけ何処のメーカーのかも分からないパーカーにスカートというラフな格好をしてる自分を恥ずかしく思ったのかフミちゃんは逃げ込むようにスーパーの中に駆け込んだワン。

でも勢いよく店に入ったもんだからドンっと人にぶつかってしまったワン。

「わっ、すみませんっ!」と謝ると「こっちこそすいませんっ!大丈夫ですか?」と謝られた。そして謝って来たのはあのバカップルだったワン。

ついに接触してしまった事に ゲーンッ とフミちゃんはショックを受けているワン。

終いには「あっ、ぶつかっちゃった謝罪とは言っちゃなんだけどクッキーあげる!私が今朝焼いたのよ、自分で言うのも何だけど結構美味しく出来たから後で食べてね!ハッピークリスマース♡」と手作りクッキーを渡されてしまったワン。

「あ、ありがとうございます〜、ハッピ〜クリスマ〜ス…」

ばいば〜い!とにこにこ手を振って帰って行く見知らぬバカップルに笑顔で手を振り返すフミちゃん。

ー……本当に私はいったい何をしているんだろうか…。

両手で抱きしめているクッキーモンスター柄の透明な袋に入ったチョコチップクッキーがだんだん冷たくなって行くのを感じながら遠くなって行くバカップルを見送りながら今度こそフミちゃんは静かに涙を流したワン。


    買い物を済ませて店を出た頃には外はもうすっかり真っ暗になっていたワン。

おまけに雪まで降っているワン。どうりで寒いと思ったわけだワン。

突き刺すような寒さを感じながら2人で歩いているとイルミネーションを観に来た沢山のお客さん達に囲まれながら並木道の中央で市長が点灯式の挨拶をしているのが見えたワン。

「もうそんな時間になってたんだ…」

携帯を見ると夜6時55分だったワン。点灯は夜7時からだから後5分であの真っ暗な並木道は花が開いたようにパァッと明るくなるワン。

「愛屋君と観れたら良かったな…どっかで会わないかなぁ?…あっでも今こんな格好だし…やばいよねぇ…」

“ねぇそこの貴方、女子力大丈夫ぅ?”の雑誌の表紙の質問を思い出してしまったらしいワン。

「会わなくてラッキーなのかもしれない…」

すれ違うめかし込んだカップル達を横目にフミちゃんから苦笑いが溢れていたワン。