一滴ポーション、俺クマちゃん!?

「嘘っそ〜………。いくら頭にきたからって こんな事するぅ!?」

ニヤッと不敵な笑みを残して諗くんは朝ごはんの続きに戻ってってしまった。

このままじゃ会社に行けないどころか今日の朝の星座占いだって見れないっ! 

「なんとかして窓を開けなくては…」

僕は自分のもふもふした可愛いお手てをジッと見つめると覚悟を決めてギュッと拳を作った。

「かくなる上はこの窓を破壊して家の中に戻るっ!!」

行くぞっ!くらいやがれっ!

「ストレート!フック!ジャブ!アッパー!オーバーハンドパーーーンチッ!!!」

ぽふっ ぽふっ ぽふっ ぽふっ ぽっふ〜ん♪

「あ〜〜〜………!!」

もふもふなこの手じゃ微動だにしなかったぁ……!!

「あっ!諗くんのやつ、家の中から窓の向こうで小さいヒツジのぬいぐるみが馬鹿な事やってるみたいな冷ややか目で こっち見てるぅ〜!腹立つぅ〜!!もう壇蜜の小説本 買ってあげないんだからっ!!」

もふもふもふもふっ、ぼふぼふぼふぼふっ!! わぁわぁ 泣きながら一生懸命窓を叩いて暴れ回っていると 隣のアパートの部屋の方から がしゃん… と、静かに何かが落ちた音が聞こえた。

振り向くと そこには お隣に住んでる諗の同級生の天崎《あまさき》くんのお父さんが僕を見下ろしながら立っていた。

天崎くんのお父さん・優吾《ゆうご》さんはタバコを吸いにベランダに出て来たようで、隣のベランダで ぎゃあぎゃあ暴れ回っていたヒツジのぬいぐるみを見て驚いてライターを足元に落としたらしかった。