一滴ポーション、俺クマちゃん!?

にこにこしながら親父《治》が押し入れの中にあったダンボールから出して見せてきたのは赤い帽子だった。

「昔ママが見様見真似で作ったドール服なんだけど、ちょっとサイズが大きかったから、結局ぬいぐるみに着せる事が出来なくて…でも今の諗くんなら ちょうど良いかも!」

「ちょうど良いって…それどう見ても女の子用の帽子じゃん!やめっ、やめろ!被せんなっ!ひぃぃ〜!!」

治が無理矢理被せてきた母お手製の赤い帽子は見事に俺の頭にフィットした。

「あっ、ほら やっぱりピッタシ!」

「びえぇ〜っ!俺で遊ぶなぁ〜っ!」

フリルまで付いてるから恥ずかしい!元の姿の時だったら絶対こんなの被らない!これじゃ…これじゃ まるで……

「カードキャプターさくらのさくらちゃんじゃないか〜〜〜っ!!」

                ……ー「…ぅえっ、えっ、ぐすっ、ぐす…ふっ…」

もふもふしながらずっと泣いてるテディベアになった俺は今、こんな姿になってしまった原因を探るため治の腕に抱っこされながら街中を歩いていた。

「しかし何でまた諗くんったらクマちゃんになっちゃったんだか…」

息子がファンタジーのようなこんな姿になってしまった事に然程驚きもせず平然と受け入れる順応良すぎな治に逆に恐怖さえ感じながら、一度溢れ出した涙はさっぱり止まらない。

小さい女の子が持ってそうな可愛いぬいぐるみを持ち歩いてる治は側から見たら ただの怪しい痛いオッさんだ。

「諗くん、気持ちは分かるけど良い加減 泣くのをおよしよ」

「うっせぇ、バカ親父!俺だって好きで泣いてんじゃないんだよ!…っ、うえぇ〜〜〜んっ!なんで俺ばっかりこんな目に〜〜〜っ!!」

ずっと泣きっぱなしだったから治の袖はびしょ濡れになっていた。