なんやかんや文句は言ったが三輪車の乗り心地は非常に最高だった。
「…なんって楽なんだ、三輪車!風が心地良いぜ!」
チャリンチャリン!
道路の凹凸の影響もあってペダルをこぐたび音が鳴るし、天使の羽がパタパタ動くのも何かちょっと気になるけど、そんな事もうどうでも良い。
「最初から三輪車に乗っとけば良かった!うえ〜い!!飛ばすぜ、いえ〜い!!」
「ちょっとちょっと諗くん!さすがに飛ばしすぎだよ〜!!危ないってば〜!!」
「まるで初めて自転車に乗ったばっかのちびっ子だな…」
「退け退け〜!!いえ〜い!!」
自分が今ぬいぐるみの姿なのも忘れて三輪車で人混みの中を走り回る俺は今、ゲームセンターの入り口でよく見かける自転車に乗ったぬいぐるみのおもちゃそのもの。
「あっ、なんか今良い匂いしたような…」
柔らかく吹いた風に乗って ふわっ と漂ってきた少し甘い優しい香りに治が鼻を くんくん させた。
「あれじゃない?」
響が見つけて指差した場所には黄色の金木犀が咲いていた。
「金木犀か!どうりで…」
「金木犀見ると秋だなって感じしますよね」
「分かる。そういやうちのアパートの庭の金木犀も ちょっと咲き出してたような…。あれ満開になると しばらく ずっと家の中 良い匂いしてんだよな。窓網戸にしてっから…」
そこまで言って ふと 何か頭の中に小さなガラス瓶のシルエットが ポンッ と浮かび上がった。
「……あれ、これって…」
「ん?諗、どうかしたのか?」
「いや、今、金木犀の香り嗅いで何か思い出しそうなんだよな…」
なんだっけ?
甘い香り…花の香り…?違うな、花じゃない、なんてーか、もっとこう……あれっ、何だっけ?確かぬいぐるみになる前の日 誰かに……。
「香りって言ったら須賀《すが》さん家、香水ショップなんだよな」
香水……
「須賀さん?」
「俺と諗と同じ学年の女子の事です。クラス違うんですけど、選択科目が一緒で班も同じだから よく話し したりしてて…」
『春川《はるかわ》くん、小森くん!今度うちで販売する香水の試作品、何個か出来て お母さんに頼んで ちょっと瓶に移してもらったから試しに嗅いでみない?』
「それだっ!!」
ぬいぐるみになる前の日の須賀さんとのやりとりを思い出して思わず声をあげると2人は「びっくりした!!」と振り向いた。
「…なんって楽なんだ、三輪車!風が心地良いぜ!」
チャリンチャリン!
道路の凹凸の影響もあってペダルをこぐたび音が鳴るし、天使の羽がパタパタ動くのも何かちょっと気になるけど、そんな事もうどうでも良い。
「最初から三輪車に乗っとけば良かった!うえ〜い!!飛ばすぜ、いえ〜い!!」
「ちょっとちょっと諗くん!さすがに飛ばしすぎだよ〜!!危ないってば〜!!」
「まるで初めて自転車に乗ったばっかのちびっ子だな…」
「退け退け〜!!いえ〜い!!」
自分が今ぬいぐるみの姿なのも忘れて三輪車で人混みの中を走り回る俺は今、ゲームセンターの入り口でよく見かける自転車に乗ったぬいぐるみのおもちゃそのもの。
「あっ、なんか今良い匂いしたような…」
柔らかく吹いた風に乗って ふわっ と漂ってきた少し甘い優しい香りに治が鼻を くんくん させた。
「あれじゃない?」
響が見つけて指差した場所には黄色の金木犀が咲いていた。
「金木犀か!どうりで…」
「金木犀見ると秋だなって感じしますよね」
「分かる。そういやうちのアパートの庭の金木犀も ちょっと咲き出してたような…。あれ満開になると しばらく ずっと家の中 良い匂いしてんだよな。窓網戸にしてっから…」
そこまで言って ふと 何か頭の中に小さなガラス瓶のシルエットが ポンッ と浮かび上がった。
「……あれ、これって…」
「ん?諗、どうかしたのか?」
「いや、今、金木犀の香り嗅いで何か思い出しそうなんだよな…」
なんだっけ?
甘い香り…花の香り…?違うな、花じゃない、なんてーか、もっとこう……あれっ、何だっけ?確かぬいぐるみになる前の日 誰かに……。
「香りって言ったら須賀《すが》さん家、香水ショップなんだよな」
香水……
「須賀さん?」
「俺と諗と同じ学年の女子の事です。クラス違うんですけど、選択科目が一緒で班も同じだから よく話し したりしてて…」
『春川《はるかわ》くん、小森くん!今度うちで販売する香水の試作品、何個か出来て お母さんに頼んで ちょっと瓶に移してもらったから試しに嗅いでみない?』
「それだっ!!」
ぬいぐるみになる前の日の須賀さんとのやりとりを思い出して思わず声をあげると2人は「びっくりした!!」と振り向いた。



