一滴ポーション、俺クマちゃん!?

「…はぁ」

「どうした諗?」

「今思い出したんだけど、こんな姿になってたもんだからすっかり忘れてた。俺、朝から何にも食ってなかった…腹減って死にそう…」

「あ〜、パパも〜!なんだかお腹痛いなってずっと思ってたんだよね」

「トイレ行け」

「あっちゃあ…そりゃ腹減るわな。もうすぐ昼だし、残りもんのパンで良いなら俺ん家で昼飯食ってたら?」

響の実家はパン屋だ。1番人気は あんぱん。こう言う時、親友が食べ物屋の息子で良かったって心の底から強く思う。

八百屋から そんなに離れてない距離にあるこぢんまりとした でも決して客層が少なくない むしろ毎日繁盛してる響の実家のパン屋“もぐもぐ小森《こもり》パン屋”に行くと、ちょうど今 響の お父さん小森 泰雅《たいが》さんが厨房から焼きたてのクロワッサンを鉄板ごと運んで来たところだった。

「ただいま、父さん」

「おー!おかえり、響!外、寒かったろ?おつかい ごくろーさんな」

「あいよ。父さんも お疲れ」

「おうよ!…っと、ありゃま珍しい!諗の親父さんじゃないですか!諗はよくうちに来るけど今日は一緒じゃ……」

そこまで言って泰雅さんは尻だけ濡れてる ちょっと道中色々あって薄汚れてしまった俺を見て おお? と目を丸くした。

「ぬ、ぬいぐるみが、な、何で1人で立ってんだよ?」

「あっ、これうちの会社の試作品のぬいぐるみロボットなんです〜!可愛いでしょう?挨拶だって出来ちゃうんだから!」

えっ!?

「ちょっ、治さん…」

「挨拶出来んですかい?どれ見せて下さいよ」

「おい、治、挨拶機能付きのぬいぐるみ設定なんて聞いてないぞ!?」

小声で治に抗議すると治はしゃがんで まぁまぁ と笑った。