「好きだ、亜子ちゃんっ!付き合ってくれっ!」
「…嬉しい!」
「亜子ちゃ〜ん!!」
ギュッとしてハグしてバイバイキ〜ん!
……俺、桃口京助(ももぐちきょうすけ)・中学2年生は昨日までは大好きな亜子ちゃんと幸せ絶頂だった…
…っ、昨日までは誰が何と言おうと間違いなく幸せだったんだーーーっ!!!
「……なんっじゃ、こりゃ…」
誰もが触りたくなるようなもふもふボディ、愛くるしい まんまるお目め。
間違いなく「いや〜ん!家族にした〜い!」と一目惚れされるに違いない 可愛すぎる この姿…
「…どっから見てもテディベア…嘘だろ、俺、クマさん…じゃない、クマ“ちゃん”になっとる…」
「…嘘《う》っそ〜………」
遥か頭上から聞こえてきた声に顔をあげると朝が苦手な俺をいつもお越しに来てくれる我が父・治《おさむ》が 鏡と向き合ってる俺を 真っ青な顔して見ていた。
「…えぇ〜…嘘《う》っそ〜…えぇ〜…嘘《う》っそ〜…え、えぇ〜…嘘《う》っそ…」
静かな声で え〜 と 嘘《う》っそ〜 以外 もっと他に言う事ないんかい、このオッさん。
「あ…あははははははっ!なんか 朝 目が覚めたら ぬいぐるみのクマになってました!もう訳分かんない!おっかしいよねぇ!?昨日 寝てる間に変な虫にでも刺されたのかなぁ、な〜んて!!あっ、ちなみに こんな姿になっちまったけど、俺 間違いなく父さんの息子の諗《いさむ》だから!本当だよ!?」
「え〜…嘘《う》っそ〜…喋ってる…」
もっと驚かんかい!……はっ!父さんったら もしかして 驚きすぎたあまり一周回って こんな静かになっちゃったのか!?…って、うちの父さんは昔から物静かな人だったな、つう事は驚いてないようで これでも結構 驚いてんのかな…?



