振り返るとそこには一の姿。
両手で白い袋を持っていた一と、ぼくの目が合った。
「あ、栄助くんこんにちは。ちょうど買ってきたんですよ」
「買ってきたって…何を?」
「はい、えっとですね」
一が袋の中に手を入れて何かを取り出す。
それがぼくの前に差し出された。
「恵方巻きです」
「いや、うま○棒だなコレ」
目の前にあるのはどこをどう見ても駄菓子の有名どころ、う○い棒だった。
これのどこが恵方巻きだ。
「いやいや、栄助…これはオレたちの恵方巻きなんだ」
ポン、とぼくの肩に手を置き、甘太郎が呟く。
樹がふっと息をもらした。
「…もう恵方巻き、どこにも売ってねぇんだよな」
「うん、だろうね」
「コンビニでのり巻き買うと高いし、それならいっそ近くの駄菓子屋でそれっぽいのを安く…ってなワケだ」
「つまり妥協をした、と」
甘太郎、樹、一の3人が視線をそらして口笛を吹く。
ぼくはそれにジトッとした視線を向けたあと、小さくため息を吐いた。
「まぁいいけど…甘太郎と樹はそれ食べる前に豆まきで辺りに散乱してる豆の袋、きちんと拾って集めておけよ」
「え、オレらだけ?」
「ぼく参加してないし、一は買い出しに行ってていなかったし。豆の袋を投げ合ってたのは2人だろ?」
『はーい、やります』
素直に頷いた2人が、せっせと豆の入った小袋を拾いだす。
ぼくは一に声をかけた。
「さて…すぐ終わるだろうけど、また遊び始めたりサボったりするかもしれない。ぼくらはブランコ近くで2人を監視するぞ」
一がクスッと笑う。
「そうですね、それがいいと思います」



