「なぁ、一。…ぼく、お前といるのが段々と怖くなってきたよ」
自分の作った雪玉のところまで戻り、そこからはひたすら無言でそれを転がしていた。
それからしばらく経って。
全員が雪玉を持って秘密基地に集まった。
そして最初に作っていた雪の山に雪玉を落として壊し、上から踏みつけ土台を作っていく。
最後に穴を掘り進めていき…ようやくかまくらが完成した。
やはり雪の量が足りなくて、ギリギリ2人の子供が入れるくらいの小さな物だったけど…甘太郎は満足した様子で頷いている。
どうやらこれでいいらしい。
「さぁ、七輪でモチ焼くぞ!」
そう言ってテントから出してきた七輪をミニかまくらの中に置いたとき…「あっ」と甘太郎が呟いた。
…ちょっと待て。
コイツ…まさか。
甘太郎がぼくらの顔をぐるりと見渡す。
そして…パチンと腹の立つウィンクをした。
「火起こしの道具、一式忘れてきちゃったぜ…」
「そんな事だろうと思ったよ!」
結局その日、そのままの足でぼくらは甘太郎の家に行き、甘太郎のおじいさんにモチを焼いてもらった。
…味は…確かにすごくおいしかった。
隣で一と伊草さんがチョコソースをつけてモチを食べているのが見え、小さく笑う。
2人にとって、今日が1つの良い思い出になっていたらいいなと、心から思った。



